面白法人の本当の”面白さ”はどこからくるのか?〜カヤックにM&Aされちゃった社長の頭の中#05 〜
思っていたより深く整理されていた”面白法人”という理念
カヤックのことを何処かで見聞きしたことがある方というは、おそらくかなりの確度で「面白法人」というワードとセットで記憶していただいているのではないかと思います。
約20年数年前からサイト構築やネットプロモーションという分野で同じ業界にいた自分も、当時から既に「面白法人カヤック」の名前は知っていました。多分、同じ案件のコンペでも何度か競合したのではないかと思います。
その時はもちろん今こうして中の人になるまでは、正直「面白法人」はある意味"キャッチフレーズ的な枕詞"なのかと思っていました。他とは違うアイデアを出しそうとか、柔らかい文化を感じさせるブランディングを狙ったものなんだろうなという意味です。
ところが、実は内部から感じるその理念は、それとは違うものでした。
これが企業理念というものの意味を改めて考えるきっかけにもなりました。
なぜ「面白法人」をかかげる事になったのかの経緯は、こちらに詳細が書かれていますので、できればまずご一読いただけると嬉しいです。
上記のページにもあるように、面白法人のスタートは、「面白いと思われたい」よりも先に「面白がれる集団になりたい」という主体的な動機にその端を発しています。
そして、「つくる人を増やす」という経営理念には以下のようなストーリーで繋げています。
試行錯誤したネイティブの企業理念
この理念には、それの説明を知った当初から個人的に非常に強く納得し共感しています。というのも、自分がネイティブ株式会社という企業で最後に掲げた理念と根っこで深く繋がっていると感じたからです。
ネイティブの企業理念というのは、こちらでした。
「地域に関わって生きる人を増やす。」
これは、移住促進や関係人口創出という事業の本当の価値は、地域に関わることでより自分自身で人生のハンドルを握って主体的な人生を描く人たちが増えていくことにある。それを成し遂げて行きたいという意味です。
もっというと、移住などで地域に関わることはあくまで手段で、それによる個々の内面の変化こそが最も価値のあることだと強く感じていたからこそ、選んだ言葉でした。
その根幹は、まさに「つくる人を増やす」と、ほぼ同義だと感じました。
ただ正直にいうと、この一文をメンバー全員がすらっと言えるほど浸透させることに力を注いだかというと、そこまではできていなかったんですよね…。ここがまた自分の不徳のいたすところというか、今でこそ気づく重要なポイントだなと思う部分です。
一方、25年も同じ言葉を続けてきたカヤック社内では、想像以上に「面白法人」という言葉が、社員の会話の中で使われていました。
「面白法人的にどうよ?」とか「そのほうが面白法人ぽくね?」みたいなニュアンスで、色んな場面でみんなが口々に使います。
これには正直少なからずびっくりしました。
面白さの根源にあるもの
考えてみれば、「面白い」という言葉自体、不思議なワードです。
英語に訳すとしたら、Interesting(興味がある)や Funny(面白おかしい)やCurious(珍しい)などが出てきますが、日本人としてそれらが100%一致するようには思えません。
場合によっては、Greatや、Amagingのようなニュアンスもなくもない。
文脈によっては、Exitingや、That’s it! (それだ!)的なものにも思えます。
言葉として一意に当てはめるのは断念するとして、一つだけ言えるのは、その言葉を発するときの気持ちは"ほぼ100%自分主体"だということではないでしょうか?
つまり「面白い」と思えるのはどこまでいっても「自分」しかいない。逆に自分自身の自由な感情の発露が「面白い」という言葉を発する唯一の根拠になっているんです。
この100%主体的にしか発し得ない言葉を、主体性を最重要視する集団のキーワードとして発見し使い続けているところに「面白法人」の本当の面白さがある気がします。
その一方で、面白法人と自ら名乗るということは、やっぱり「面白いこと考えてくれるんでしょ?」という言葉でプレッシャーを受ける場面にみまわれることも、社員の多くが経験しているようです。
それを「また今日も"オモハラ"うけちゃったよ〜」という人までいて、それはそれで笑いましたw みんなそんなことにも慣れてるようです
もちろん、誰もが仕事にだけ「主体的」になるべきだとは微塵も思ってません。ただ、何かしらの軸で人生を主体的におくれないと、やっぱりそれはいい人生とはいえないと思います。そして、人生の多くの時間を費やす仕事さえも主体的にできれば、それはやっぱり幸せだし楽しいに違いありません。
でもそれは決して簡単なことではなく、ぶっちゃけ何から何まで100%主体的になれるかというと、それはそれで疲れちゃいますし、やりたいことであっても、その主体性を長期間維持することはかなり難しいことです。
でもそれを常に意識しながらことに当たる、つまり自分が「面白がれているか」を確認しながら仕事をするという仕組みを具えていること自体は、企業としてかなり面白いといっていいのではと思います。
企業理念については自分も相当悩み紆余曲折がありました。
いつかまたその話も思い起こして記事にしてみたいと思います。
これを書いていていろんなことが思い起こされ、改めて考えることもできて、自分的にはまあまあ面白かったので、今日のところは良しとしたいと思います。
ではでは。
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