想像していない未来…???大山の紅葉とともに。
きのう、紅葉も終わりを迎えつつある鳥取の大山へ、仕事で出かけたときのことです。
「奥大山スキー場までの道沿いの紅葉がとってもきれいなので、ぜひ」と、大山寺近くの「ゲストハウス寿庵」オーナーさんに教えていただき、ブナの原生林が美しく紅葉しているようすをドライブがてら楽しんできました。
鍵掛峠はたくさんの人で賑わっていて、スタッフが紅葉の写真をたくさん撮影してくれたのですが、「以前もこのアングルで、この場所で写真を撮ったのを思い出した」という話になり、調べてみたら2007年11月3日に撮影していた、ということが分かりました。
いまが2024年だから、17年前。(そんなに前だったのか!)
ちょうど、「森の冬じたく朝市」が行われる直前のあたり。
そして、11月26日には任意団体からNPO法人化をしているので、ハードなスケジュールな中で紅葉の写真をわざわざ、撮影に行ったことが分かります。
その話の流れからなんとなく、NPO法人化15周年記念冊子「日々 綴ってきた」の中にある「くらしアトリエのあゆみ」=年表を見ていたのですが、この頃はフットワークも軽く、楽しい!という気持ちを心に抱えて日々、活動をしていた気がします。
自分たちが「地域」「山陰」「島根」といった、いわゆる「ローカル」に焦点を当てていく活動にシフトしていく過渡期であり、「ここで暮らすことを楽しいって言えるような人を増やしたい」という、前向きな気持ちで発信を続けていました。
当時の企画やイベント内容を振り返ると、「若いな…」という思いでついつい顔を覆ってしまいます。
活動の核だった「朝市」も、内容を見ると「おしゃれなイベントにしよう!」と肩に力が入りすぎていて、最初のうちは本当の意味での「地域の豊かさの発信」にはなっていなかった部分もありました。反省も多く、お叱りを受けることも多々あり…でも、そこから学ぶことも多く、それが今の活動にそのまま活かされています。(これについては前述した「日々 綴ってきた」の中で「転機になった出来事」として掲載していますので、良かったら読んでみてください。)
2007年秋の「森の冬じたく朝市」を経てたくさんの学びを得た私たちは、翌年に雲南市を拠点に定めることを決め、その後、島根町の海辺や雲南市の山あいの街並みでも朝市を開催して、このままずっと外で多くの方が集うイベントを行っていくんだ、と信じていました。
大変だけどとても楽しかったし、本当にたくさんの人に来ていただき、やりがいもありました。
まさか17年後、斐川の土地で活動をしているなんて思いもしなかったし、何百人も人が来られるようなイベントの開催はあえて避けてしまっている、というのも、想像できなかった。
当時は「発信=イベント」という部分もあったし、「自分たちが山陰のマルシェの先駆けなんだ」という自負みたいなのもあったような…お恥ずかしい。
まあ、17年後、思った以上に体力的にしんどくなるんだなあ、というのも、当時は想像だにできなかったのですが…。
あんなに毎年、大規模な朝市を開催するんだ!と意気込んでいたのに。
最後に朝市を行ったのが2013年の秋。この頃には、なんとなく「たくさんの人を集めて大規模な催しを開催する」ことの意義について、考え始めていました。
それを、自分たちがやる意味というか…。
この頃、世間にイベントやマルシェが増え始め、さらに東日本大震災以来、「地方」に光を当てるような施策やムーブメントもたくさん、動き始めました。
時代の流れを考えたとき、自分たちの役割はそこにはもうないのかも、と思ったのです。
そこからいろいろとあえぎ、悩み、存在意義を自らに問いながらも、どうにかこうにか「はたひよどり」で細々と活動をしていた2020年。
「コロナ禍」「施設周辺のがけ崩れ」と思わぬ事態が重なり、それでも「島根っていいよね、と共有できる場所は必要」と考えて、今の斐川の事務所に移転をしました。
構造上の問題でそれまで行ってきたワークショップが開催できず、その状況でも「ここでの暮らしの楽しさ、豊かさを発信したい」という思いは持ち続けていた私たちが、いま定期的に開催しているのが「山の図書室」。
知的好奇心を持ち続け、視野を広く持とう、そのために本を読もう、というのがコンセプトです。
2007年と2024年、紅葉の美しさは変わりませんが、私たちの「暮らしの発信」のやり方はずいぶんと変わりました。
デジタル技術が発展し、当時一生懸命やっていたことが、今はスマホの1タップでできてしまう、そんな世の中。くらしアトリエの発信の役割も、使命も、少しずつ変化しているのを実感します。
でも、当時から心に秘めていた「ここに暮らしていることの楽しさ、豊かさを伝えたい」という思いは、まったく変わっていません。
先日のうつわイベントに、はたひよどりに通ってくださっていた当時の参加者の方が数人、遊びに来てくださいました。
中には10年以上お会いしていなかった方もいらっしゃって、当時の思い出がぶわーっと甦ったのですが、その方たちも「ずっと来たいと思ってて」「はたひよどりもよかったけどこっちもいいですね」と、斐川に来るのを楽しみにしてくださっていた様子が伝わってきて、それも嬉しかった…!
いつもそこに開かれていて、ふらっと訪ねたら楽しい時間が過ごせる…当時の方たちからもそんな風に思っていただけていたなら、こんなに嬉しいことはありません。
大きな花火を打ち上げるような活動はもうあまりありませんが(当時もそんなになかったけど)、その代わり(以前から折に触れて言っているとおり)、日常の中でふと立ち止まったときに隣で同じペースで歩いている、そんな存在でありたい。
「あ、くらしアトリエさん頑張ってるな、私もここでの暮らしをもうちょっと前向きに楽しんでみよう」と、何か一歩を踏み出すきっかけ、そのお手伝いくらいができていたら、すごく幸せです。