TVやイベントってどんな広報的な意味があるの?チーム体制になったクラシコム広報2年目の模索
こんにちは。クラシコム広報の馬居(うまい)です。
先週末より、「カンブリア宮殿」(テレビ東京)にて「北欧、暮らしの道具店」の裏側を追っていただいたクラシコム特集回の再配信がTVer・ネットでテレ東にて、2週間限定ではじまりました。
そこで、今回の再配信に合わせて、昨年公開した「広報って必要なの?」と思っていた広報1年目の振り返りに続いて、「広報って必要だ!」というのはわかったけれど、では「私たちに必要なのはどんな広報だろう?」と模索した2年目について振り返りたいな、と思います。
2年目の広報活動の指針は?
広報の大切さを認識した私たちは、1年目の終わりごろから、早速チーム化するべく採用活動を開始し、2023年、新しい仲間を迎えて2人体制となりました。そんな、2年目の広報活動について、代表の青木から伝えられたのは2点でした。
ひとつめは、まだ明確には「私たちらしい広報」の形はわからないけれど、まずはざっくりと、クラシコムの広報は経営とステークホルダーのコミュニケーションという役割をもつということを意識してほしいとのこと。
私たちにとってのステークホルダー=お客さま・従業員・株主・取引先・メディア…など、関わるすべての方にとって会社がどうあるべきか、そのすべてのバランスを経営陣は考えているので、その時々に必要なコミュニケーションを広報がサポートしてほしいということでした。
そして、もうひとつ何度も伝えられたのは「インプット・学びを大事に」です。
プレスリリースやメディアの方とのやり取りなど、1年目でできるようになったことを闇雲にブラッシュアップするのではなく、今やっていることは私自身に学びがある仕事なのか、経営にとって新たなインプットになるのか、を常に意識してほしいということでした。
兎にも角にも、その2つを意識しながら、「チーム」として広報を動かしていく、それが2年目の命題でした。
テレビ出演での模索
出演したからこそのインプット、私たちにとっての大きな効果
じゃあ2年目は何をしようかと考えていた頃に……突如舞い込んできたのが、テレビ出演のお話でした。
何と言っても、今年のクラシコムの広報にとって一番大きな出来事は、この「カンブリア宮殿」(テレビ東京)と「THE TIME,」(TBSテレビ)という2つのテレビ番組に出演したことでした。
というのも、2006年の起業から15年以上、クラシコムはTV出演はお受けしない方針を掲げてきました。広報担当がいなかったこともありますが、影響範囲が大きいにも関わらず、コントロールがなかなか難しいテレビは、未だ私たちにとって、リスクのほうが大きいのではないかと考えていたからです。
しかし、広報チームができ、上場も経て、更に広い範囲の方々に認識していただく必要を感じる中で、今回の「カンブリア宮殿」のお話をいただき、今ならいけるかも!とチャレンジしてみることにしました。
広報担当としては四苦八苦することも多かったのですが、スタッフは落ち着いていつも通りの姿をきちんと見せてくれました。その様子はこちらにまとめています。
では、結果としてテレビの効果がどうだったかというと……これまで私たちは何をためらっていたのだろう!というくらい大きくポジティブなインパクトがありました。
テレビで紹介された商品はあっという間に売り切れ、SNSにも私たちについての言及が溢れました。ただ、それだけではなく実際にチャレンジしたからこそわかったインプットが2つありました。
TV効果を打ち上げ花火で終わらせないエンゲージメントアカウントの存在
テレビをためらっていた理由は先述したとおりですが、たとえ大きなメリットがあったとしても、一瞬の効果に終わってしまうのだろう、という懸念がありました。
しかし、実際に放送されてみると、何よりも驚いた大きな反響は、私たちが「エンゲージメントアカウント」と呼んでいる日常的にお客さまとつながる手段=スマホアプリのダウンロード数・SNSのフォロワー数が急激に増えたこと、そしてその増えた方々からのアクセス・購入が続いたことでした。
つまり、たくさんのエンゲージメントアカウントを持ち、その活用を日頃からブラッシュアップしておくことで、テレビの効果はいっときにとどまらず、その後長く続く(ということもある)。これはとても大きな発見でした。
私たちにとっては、あまりに大きな発見だったので、決算資料に盛り込みました。
さらに、カンブリア宮殿での学びをテーマに「日経クロストレンド」で取材までしていただきました。
「家族のように嬉しい!」お客さまからの意外な反応
そしてもう1つのインプットは、お客さまからの反響です。
紹介された商品があっという間に売れてしまったことはもちろんですが、それ以上に驚いたのは、お客さまが送ってくださった感想の数々です。
放送後、「北欧、暮らしの道具店」には100通もの感想メールが届き、SNSにもたくさんのコメントが。さらには、店長 佐藤のInstagramにも100件のコメントが送られました。お問い合わせのタイミングで感想を添えてくださる方もいらっしゃいました。
いくつかの「遠くに行ったしまったようで少し寂しいな」というお声にキュンとなったりもしましたが、ほとんどは「いつも見ているスタッフさんがテレビに出ていて嬉しい」「家族がテレビに出たようだった」「もっとこういう機会が増えてほしい!」といったもの。
初めてのテレビドキュメンタリーで緊張しているであろう私たちスタッフに、「大丈夫だったよ!」とねぎらってくれているような、とても温かくポジティブな感想ばかりでした。
テレビに出演することで、いつも応援して下さる方々が喜んでいただける、これは思わぬ大きな学びでした。
テレビの効果は一瞬で終わらない、そしてお客さまが喜んでくださる。この2つの学びとともに、テレビという媒体をむやみに恐れなくてもいいんだ、という希望を持つことができました。
チーム体制になっての模索
「待ち時間活用」「オンボーディング」を兼ねたオウンドメディア
と、テレビの反響だけをあげると、とても順調な広報活動だったように思える今年ですが、私たちがいくらテレビ取材への希望を見出したところで、そう簡単に取材をしていただけるわけはありません。
広報活動2年目、今年のもうひとつの大きな学びは、広報はある意味「待つ」仕事なんだな、ということでした。
広報1年目は、株式上場もありましたし、世の中に知られていないことばかりだったので、社内では当たり前になっている私たちの強みや特徴をまとめてたくさんの発信を行いました。
ただ2年目となると闇雲に発信するのではなく、有益な情報を厳選してお渡ししなくてはなりません。ある意味、ネタが生まれる日を待たなくてはなりません。
それに加えて、チーム体制になったとはいえ、いきなりは同じ目線で発信することはできません。ひとりで猪突猛進を突き通していた1年目とは違い、チームとして目線が擦り合うまでを待つ時間が生まれます。
そこで、その待ち時間の活用に、特に締切は設けず、スタッフのインタビューを制作することにしました。まさに私たちの「インプット・学び」を目的とした作業です。
▼新任広報がみずからが聞き取りをして書いた記事。私たちもそんな経緯でInstagramは成長したのか‥と改めて驚き、大きな反響をいただきました。
▼今後も続けていくために、「ライターさんと作る」という経験にチャレンジした記事。バイヤーというと、買付のイメージが大きいのですが、実際は超綿密な商品販売計画をしているチームの裏側をまとめました。
こういった記事をコツコツと「待ち時間」で作ることで、広報チーム内のインプットが増え、広報チーム内の発信する際に大切にすることのすり合わせにもとても役にたちました。
イベント運営での模索
イベントの広報的な役割とは?
そしてさらに今年、「ステークホルダーとのコミュニケーション」という部分で、チーム体制になることで実現できたのは「イベント運営」です。今年は、さまざまなイベントで広報が主体になったり、運営の手伝いという形で稼働しました。
特にこの秋は3週連続で3つのイベントを開催し、大忙しでした。
今回、複数のイベント運営を行ってみて、最も私たち広報の学びとなったのは……とにもかくにも、参加した経営陣・スタッフのインプットがすごかったということです。運営に携わったスタッフの振り返りアンケートはびっしり。直後の全体会議では、経営陣や、多くの関わったスタッフがそれぞれに感じたことを話してくれました。
さまざまなインプットの中でも、共通していたことがひとつあります。
それは、お客さまも、株主の方々も、クラシコムに興味を持ってくださる方々であれば、どの方を対象にしたイベントであったとしても、お会いした後の気持ちは同じだ!という気づきです。
これは私が広報1年目で、「北欧、暮らしの道具店」やクラシコムに興味を持って取材に来てくださるメディアの方々にお会いした際にも感じたことでした。どんな分野の方々であれ、「クラシコムに興味をもってくださる」という共通点がある方々に対して、私たちは同じ想いを抱くことができる。
つまり、普段から私たちがお客さまに接しているように、メディアや株主、クライアントのみなさま…どなたでも、正直に、誠実に、対応していれば大丈夫だ。むやみに怖がったり警戒しなくても大丈夫。
そんな意味で、スタッフが口を揃えていっていたのは、「もっと(お客さまを、株主やメディアのみなさまを)信じよう。」ということでした。
この気持ちの安全性の高まりは、これからも様々なチャレンジを重ねるにあたって、何物にも代えがたい収穫になったのではないかと思います。
イベントは、これからも「インプット」という意味でも、「経営とステークホルダーのコミュニケーション」という意味でも、とても大きな役割を果たしそうです。
2023広報活動のまなびまとめ
振り返ってみると、この一年、いつも気をつけていたのは、この取り組みは経営陣・スタッフのみんなにインプットがあるかな、ということでした。取材も、イベントも、賞を受け取るということも、全てそれが重要な基準になっていました。
広報担当である私たち自身の学びになること、そして私たちの取り組みをお客さまに知っていただくことはもちろん、各ステークホルダーの方々に実際に接するスタッフのみんなに学びやインプットを感じてもらうことは、クラシコムの広報の根幹だと改めて感じました。
また、もうひとつ今年何度も感じたことは、TVにしても、イベントにしても、広報活動はまわりまわって、私たちを好きでいてくださる方々を肯定するということなのかもしれない、ということです。
テレビという数多くの方々に見られる媒体に出演することや、イベントという形で実際に触れ合う時間を持つことで、普段はひとりでじっと好きでいてくださってる方たちに、私たちを好きでいても大丈夫なんだ、と思っていただけたように感じたのです。
元をたどれば、メディアの方々自体も、うちのメディアで取り上げても大丈夫だな、と思ってたからこそ、取材していただけたのだと思います。
先日公開した2023年の社史のなかで、副社長である佐藤は株主総会が終わった後に、株主の方々がクラシコムに期待している3つのことが見えてきたと言っていました。
1.本当のことを言っているのか
2.考えを尽くしているのか
3.未来へ希望を持っているのか
広報活動を通して伝えたいことも、全く同じだと感じました。
闇雲に良い人・良い会社だとアピールすればいいのでもなく、誠実に、正直に、すべてのステークホルダーの未来を考えて、最大限の努力をしている「今」を適切に伝えていく。その積み重ねが、さまざまな媒介を通して伝わって、結果的に「好きだと言っても大丈夫」な存在になって、私たちを好きでいてくださる方を肯定していく。
そういう信頼の空間を、さまざまなコミュニケーションを通して広報が作っていくことができれば嬉しいなと、改めて感じる一年でした。
来年もそんな機会を作っていきたいと思います。ぜひ、私たちに関する発信をみたり、イベントに参加したり、クラシコムに触れていただけると嬉しいです。
まずは、「カンブリア宮殿」再配信や本年の社史を是非ご覧くださいね。