期末決算を振り返って
9月13日、期末決算説明会を開催。約45名のご参加ありがとうございました
クラシコムは、9月13日に2024年7月期決算を発表しました。
当日の様子は、クラシコムのコーポレートサイトで動画と書き起こしを掲載しています。ぜひご覧ください。
当説明会には、機関、個人合わせて約45名の投資家の方々にご参加いただきました。
代表取締役社長の青木、CFOの山口から決算報告をした後、質疑応答では計12問のご質問にお答えしました。
この記事では、期末決算の振り返りとして決算発表内容の概要と、その後に行われた機関投資家等とのIR取材における主な質問やフィードバックについても報告したいと思います。
決算発表内容の概要
18期連続で増収増益を達成 売上高とEBITDAは過去最高
2024年7月期の売上高は「北欧、暮らしの道具店」の売上成長と「foufou」連結により、YoYで+15.7%成長で70.1億円と過去最高、初の70億円超を達成しました。
当社が重視している収益指標であるEBITDAもYoY+16.8%成長で11.4億円と過去最高、初の10億円超を達成し、EBITDAマージンは16.4%と、目標水準である15%を超える高い水準となりました。
プラットフォームの成長を示すエンゲージメントアカウント数はアプリが牽引し当期末時点で約786万アカウント、累計会員は約68万人となり、年間購入者数も約20.7万人となり、堅調に増加しました。
当期の1株当たり年間配当額は17円と、6月修正予想の10円から上方修正いたしました。
2025年7月期 業績予想 成長再加速を見据えたマーケティング先行投資に注力する一年
連結売上高はYoY14.1%成長し、80億円となる見込みです。
なお、先行投資としてマスメディア広告などマーケティング投資を拡大するため、販管費が増加し、営業利益以下の各利益は今期よりも下がる見通しです。
EBITDAは7.5億円、EBITDAマージンは9.4%を見込んでいます。
株主還元方針については、従来通りのルールに変更はなく、予想通りに業績が推移をした場合のフリー・キャッシュ・フローは+3億円の見込みであり、1株当たり年間配当額は20円となる予想です。実際は、期末の確定したフリー・キャッシュ・フローに基づき配当を行ってまいります。
今後の成長戦略 2027年7月期には連結売上高100億円規模を目指す
2025年7月期業績予想の背景には、「北欧、暮らしの道具店」の売上成長の再加速を目指す今後の成長戦略があります。
「北欧、暮らしの道具店」の新規購入者の獲得が足下では鈍化してきており、継続購入者や、1年以上前に購入された復活購入者が安定して伸びていますが、さらに新規購入者を伸ばすことができれば、さらなる売上成長が見込めます。
これまで、売上高広告費比率は6%~8%でコントロールしてきましたが、2025年7月期からの3年間は、年間10億円程度の投資を行うことで継続的な成長を目指し、2027年7月期には、連結売上高100億円規模を目指していきたいと考えています。
一時的に投資が先行するため、EBITDAマージンは10%弱にまで低下する見通しですが、2027年7月期には、EBITDAマージンも目安としている15%に近いところにまで戻っていく想定です。
マーケティング投資の内容
2024年7月期4Qに実験的に増額したアプリダウンロード広告は投資拡大しても効率性や投資回収に問題ないことが確認できたため、投資規模を拡大します。また、マス広告など新たな取り組みにもトライするため投資額が増加する想定となっています。
2024年9月9日より、テレビCMの実験的なトライアル放映が関西地方で始まりました。従来のエンゲージメントチャネルへの投資、アプリダウンロード広告、WEB広告などの取り組みに、こうしたマス広告や、販促、CRMの強化などの新たな取り組みを加えて、新規購入者数や復活購入者数にアプローチしていくことで、成長の再加速を図ります。規模、内容、効果的な組み合わせを模索し、広告投資のノウハウを積み上げ、3年間でその後のマーケティング戦略の土台づくりを目指してまいります。
テレビCMにトライしたのは、2023年にテレビ番組「カンブリア宮殿」や「THE TIME,」で大きく取り上げていただいたことがきっかけです。それにより、アプリのダウンロード数が大きく増加し、その後においても継続的にお買い物をしてくださるお客様が増えました。
当社の主要なターゲット顧客層の一つである50代以上の女性は、当社の主要なエンゲージメントチャネルであるSNSやインターネットのみでアプローチできるとは限りません。そのような方も、ご家族やご友人から勧められて使い始めたというお客様が非常にたくさんいらっしゃるので、そのようなお客様に新たに出会うチャネルとして、テレビCMを試してみることにしました。
なお、業績予想については、コストは10億円レベルで投資する前提で広告宣伝費を計上していますが、マス広告は当社が十分な経験を有していないため効果を見積もることが困難であるため、それによる売上高への影響は保守的に予想しています。
業績予想や今後の見通しについては、マーケティング投資を進めていく中で効果を確認し、随時アップデートしてまいります。
機関投資家の皆さまからのIR取材での主なQ&Aやフィードバック
総論
質問内容は、やはりマーケティング投資拡大の内容とその効果をどう考えているか、ということに集中しました。IR取材の中で質疑に答えていくことで、一時的に利益は減るもののマーケティング投資を拡大するという方針については、サポーティブに受け止めて頂き、明確に批判するお声はありませんでした。
以前からマス広告を活用する可能性があることを伝えていたことや、購入者数の状況を今回の期末決算から詳細に説明したことで課題感と対応策としてのマーケティング投資拡大について合理性のあるものとしてご理解頂けたのではないかと思っています。もちろん開示情報拡大へのご要望などは幾つかありましたので、そういった点もご紹介しつつ今後に生かしていきたいと考えております。
【QA】10億円のマーケティング投資の内訳について
今の想定としては、マス広告で3億円程度、残り7億円はアプリDL広告など効果が検証できているマーケティング活動に投資することを考えています。CMの効果検証によって配分を変更する可能性もあります。
なおアプリDL広告など既存の広告については、2024年7月期比較で2.5億円ほど増加する想定になっていますが、2024年7月期4Qの増額実験の結果から今のところ獲得効率やその後の回収について増額しても問題ないレベルと確認のうえで増額しています。
【QA】マス広告の投資効果を測る指標(何をもって成功と判断するのか)
9月に実施した関西地方限定のCMはアプリDLを訴求する内容となっているので、アプリDL数が直接的な指標になってくるものの、新規会員数(ほぼ新規購入と同義)やその後の購買行動など様々なデータから、獲得効率と回収可能性を判断していくことになります。ただ初めての施策ということもあり、具体的な目標値は現時点では設定していません。
この点については想定している新規獲得数や購入者数といった数値をもう少し開示してほしいというご意見も頂きました。そういった指標について、投資家は目標やコミットメントとは受け取らないので、あくまで売上の前提として想定している規模感の参考情報として受け止めるので検討してほしいといった内容のご要望です。
今までも開示するKPIについては慎重に検討しつつ必要なものは出していくというスタンスで決めてきました。業績予想を含めた将来情報は東証もコミットメントではないという事を発信してくれていますが、将来情報の受け止め方はそれぞれの投資家によって様々だとも感じています。
慎重さは引き続き維持しながら、頂いた貴重なご意見に対してどのような対応ができるのかを検討していきたいと思います。
【QA】マス広告にトライするタイミングが25/7期となった理由
初めてマスメディアで大きく取り上げて頂いた「カンブリア宮殿」出演での反響は想定以上だったため、マス広告を活用する可能性については継続して検討して準備を進めてきました。
ライフカルチャープラットフォームという世界観でユーザーと繫がるユニークなビジネスモデルによる効率的な顧客創造と関係性維持という強みに関しては変化しておりませんが、そこにマス広告という新たな成長ドライバーをさらに獲得できるのか、というトライは持続的な成長のためにいつかやるべき事であると捉えていたためです。
2024年の春頃にはリサーチや実行体制について一通りの準備ができ、そこから適切な放映タイミングを踏まえてプロジェクトを進めた結果、2025年7月期の1Qとなるこの9月での実施となりました。
結果として、新規購入者数の鈍化がデータからも明確になった2024年7月期下期の直後に新たな取り組みのテストを開始できたので、その点からも着々と準備を進めてきたことにより非常にいいタイミングでできたと考えています。
【QA】コスメなど当期のカテゴリ花束戦略で具体的に企画していること
コスメ分野の拡充としては、スキンケア分野での新商品の展開が10月から始まりました。その他オリジナルの靴やアンダーウェアなどの分野での新商品開発も進んでおり、2024年7月期と同じくらいの新商品数をお届けできるよう今期も取り組んでいます。
【QA】M&Aの方針、その他の投資
成長戦略のため積極的にM&Aを行っていくことは想定しておらず、今回開示した2027年7月期での連結売上高100億円という水準は、今のところ「北欧、暮らしの道具店」セグメントの成長を軸として考えており、M&Aを織り込んでいる訳ではありません。
M&Aをしないという方針ではないので、いい出会いがあった場合には、それによる成長機会を吟味して意思決定して参りますが、具体的な案件は足下ありません。
【FB】CMの効果検証
9月に実施したTVCMトライアルについて、その結果と評価に関する情報をしっかり開示してほしいというご意見を多数頂きました。
9月中旬がCM放映期間だったこともあり、9月13日の決算発表後から始まったIR取材の初期においては検証できる状態ではなく、またフェアディスクロージャーの観点から放映後の取材においても結果や検証途中での見解などもお伝えするのはお断りしていました。
複数の観点や時間軸から今も検証中という状況ですが、12月13日に予定している2025年7月期1Qの決算発表においてTVCMのトライアルに関する振り返りについて説明できるよう準備を進めてまいります。
【FB】出来高について
事業内容等に関して興味を持っていただく事はできても、現状の出来高水準では、新規に投資することは難しいというFBが残念ながらありました。
いまの時価総額も考慮すると機関投資家の方が頻繁に売買するような状況を作るのはハードルが高いので、個人投資家の方へのアプローチを増やしていく事にIRとしてはトライしてみようと考えています。
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