【価値観を形づくる宿】 3. 大学生が初めて知った旅館の導線「飛騨亭花扇」
うっかり続いてしまった3本目、極めて個人的な宿泊施設にまつわる記憶の話です。
大学生:背伸び価格の旅館に泊まってみたかった
ホテル、ホテルと言って幼少期から今までを過ごしているわたしです。一方で仕事やプライベートでも「旅館」まわりの経験はかなり少なく、それゆえ色々とひっくるめた「旅行好き」とはなんとなく名乗りにくい。
旅館とご縁がなかった理由は、建築様式と立地かと思います。建築をやっていた父が…とよく枕詞や言い訳に使いますが、携わっていたのは洋風建築。そして都内で生活するわたし自身が仕事として関わってきたのも、立地ゆえ当たり前のように洋風建築のホテルでした。
大学時代にはホテルのアルバイトを続け、ゆく道も宿泊業界周辺と決めたものの旅館はさっぱり。一度は少し背伸びしてみようとお財布とにらめっこし、選んだのが飛騨亭花扇でした。
飛騨亭花扇は、岐阜県の高山市、高山駅から車で7分の立地。雪のなか、駅から歩いて行こうとしたものの途中で心折れたことを思い出します。
お部屋もお料理もお風呂も満足したのですが、最も記憶に残っているのは「館内導線」なんですよね。
石畳を通ってたどり着いた玄関で靴を脱ぎ、雪景色の外界と暖かい室内の対比にありがたみを感じて、ロビーの囲炉裏を囲む。
中庭の足湯で旅の疲れを癒してからお部屋に向かう道中に、廊下も含めて全館が畳敷きであることを知る。懐かしさとか安心感って足の裏からも伝わるんだ。
お食事を経て客室を出れば、お風呂・湯上がり処・夜食のそば(高山ラーメン)の暖簾が続く。
欲しいところに欲しいものがあったり、欲していなかったのに実はぴったりの気分だったり。こうやって人の動きから快適って作れるんだなあ。旅館と(今まで過ごしてきた)ホテルとの違いを体感したのでした。
ここ、飛騨亭花扇での記憶は、
宿泊施設のサービスはストーリーであるということ。
またまた、うっかり続いてしまうよ
旅館のことを書いておいて、客室にも食事や温泉にも触れないのはどうかと思いますが、やっぱり一番の学びどころが一番記憶に残っているものなんですね。
しばらく旅館にはお邪魔していないです。行きたい旅館と、幼児二人連れという組み合わせがまだ難しい。あくまでわたし自身が訪れるのにふさわしいと思えるタイミングで行きたいだけです。
価値観を形成した、記憶に残る宿泊施設があといくつか。
まだまだうっかり続きます。
🏨前回記事はこちら