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岡山神社の蚤の市で出会った謎の花瓶
長野県中部の霧ヶ峰に降った雨粒は、同じ場所に降ったにもかかわらず、ほんの僅かな差で、太平洋に流れるものと、日本海に流れるものに分かれます。この分かれ目が分水嶺で、霧ヶ峰の尾根は、この分かれ目となる「分水嶺」となっています。
さて、画像は過日、岡山神社の蚤の市で出逢った出会った花瓶です。
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コバルトブルーが美しい、ペルシャ風の七宝焼きで、明治時代に日本で作られて海外に輸出されたものと推測されました。作者や工房の記銘はありませんので、おそらく無名の職人集団による量産品なのでしょう。口の形が少しいびつで、肌の研磨にもムラがあります。価格は、二束三文の蚤の市価格で、今まで評価されることなく、蚤の市に流れ着いたものです。
しかし、工芸品としてはB級品でも、偶然できた色むらには、何とも言えない美しさが感じられます。まさに、雑器と芸術品との分水嶺に位置する造形物です。
蚤の市に出店されていたsensealism(岡山市北区石関町)のご主人に訊いてみたところ、あえて価値が鑑定できない古物を選んで買い付けをしているとのことでした。
分水嶺は、自らの感性のみを頼みに歩む、スリリングな妄想を楽しめる領域です。マンションのリビングに設えて、日本の秋の風情を楽しみました。
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高田裕之さんによる備前焼の花器とハイジさんによるこうもりの掛け軸と共に
和の空間にユーラシアの香りが加わりました。