目つき悪いよ、クララ……❣❣❣
だっていきなり知らない人がぞろぞろ来たんだもん。
あたしはあわてて押し入れに逃げたんだよ。
いつもは、ひとりずつ順番に来るのに、今日は一度に来るんだもん。
いっておいてよね。
恵子なんか、ベッドの中に隠れちゃったもの。
佐代子、どうするのよ。
「すみません、外でお話ししていいですか?」
佐代子ってば変な写真を公表しないでよ。
「だって、可愛いんだもの!」
あら、あたしはいつも可愛いのよ。
あんたたちがいつも可愛いって、いってるし、ヘルパーさんや看護師さんや理学療法士さんだって、可愛いって、言ってくれるもの。
でも、もうすぐ、お引越しするんでしょ。
あたしも連れて行ってくれるんだよね。
「あたりまえでしょ、クララが居ないと生きていけないもの」
あたしって、たいせつなの?
「クララが居るから生きていけるんだよ」
あたしはいないと生きていけないの。
「うん、宝物だからね」
あたしは宝物なのに、けっこう命令口調だよ、佐代子ってば。
「だって、可愛いからいじりたくなっちゃうんだもの」
あたしはおもちゃじゃありません。
「可愛い子には旅をさせろ、っていうものよ」
なんだかわからないけど、あたしは可愛がられている、ということにしておこう。