見出し画像

日向ぼっこしてるのよ……=^_^=

 今日はお日様が出ているから、あたしは出窓でひなたぼっこしてるのよ。
 風の強い日は、窓がガタガタいって怖いから、お日様が出ていてもひなたぼっこはしないけど、今日は風もやんで、青い空が見えてきたから出窓からお外を見てるの。
 今日はお外で、お友だちの猫さんたちが走り回って遊んでいるわ。
 あたしにも、おいで、っていうけれど、あたしはお外には行けないの。
 あたしはお外で遊んだことがないの。

 ううん、ちがうわ。
 とっても小さいときにお外でないていたの。
 寒くて、おなかも痛くて、ないていたの。
 そこに車いすの女の子が通りかかって、おかあさん、ネコがないてる、って言って、ベンチの下をのぞきこんで、あたしを見つけてくれたの。
 おかあさんが抱き上げて、あら、なんだか苦しそうね。
 お医者さんに連れて行ったほうがいいね、おかあさん。って、女の子が言って、あたしをひざの上にタオルで包んで乗せてくれて、動物のお医者さんに連れて行ってくれたんだわ。
 お医者さんに行って、お注射をしたらおなかの痛いのが治ったのよ。
 あたしはあったかくて眠くなって、寝てしまったの。

 目が覚めたら、あったかいお部屋の中で、水玉もようのベッドの中で寝ていたの。
 おかあさん、クララ目が覚めたよ。
 あら、かわいい、目がくりくりね、おなかが空いたでしょ。ミルクをどうぞ、って、おかあさんがあったかいミルクを水色のカップに入れてくれたの。

 あなたはきょうからうちの子よ。
 黒猫のクララさん。

 ベッドはね、1か月前に病気で天国に行った、キララのだけど、取っておいてよかったわ。
 キララは男の子だったから、水色ばっかりだけど、まだ猫の香りが残っているかしら。
 うん、なんとなく、誰かに抱かれているようで安心して寝られたわ。
 そう、それはよかったわ、ねえおかあさん。

 わたしは、ムギちゃん、あなたはクララよ、キララの妹だからね。
 クララ、ムギのお友だちになってあげてね。きっとキララがわたしたちが寂しくないように、ってクララを連れてきてくれたのよ。って、おかあさんが言いました。
 だから、クララはどこにも行かないでね、とムギちゃんがいいました。

 だから、あたしはお外には行かないの。
 ごめんね。お友だち。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?