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ごめんね、かあさん。一生懸命生きてなかったよ……❣❣

 わたしは高校生のときに一生懸命生きることをやめた。

 勉強をしないで、図書室でフランス革命のことを調べたり、居眠りをしたり漫画の似顔絵を描いたりしていた。

 社会の出て差別されるのが怖くて、慌てて進学させてくれ、といって短大に行かせてもらった、が、勉強はしないで、宝塚歌劇を観に行った。

 なんでもいいから仕事をしなければ、と思って、歯科医院の雑用の仕事に就いたけど、ここから人生が変わった。

 歯科医院の院長が先進的な考えの人で、障害のある私に受付と医療事務の仕事を与えてくれた。

 友人といっしょにいけばなを習い始めて40数年教授者の資格も取得した。

 ケアマネージャーの資格も取って仕事にも就いた。

 でも、それは意地っ張りの負けず嫌いだっただけで、一生懸命生きていたわけじゃなかった。

 かあさんはきっと知っていたんだね。

 だから、文章を書くように勧めてくれたんだねえ。

 そんな気がしてきた。

 友だちの水本さんが、「かねさんの話は面白いから書いて」といってくれて、出版費用もかあさんとふたりで出してくれて、出版祝賀会の二人の笑顔が忘れられない。

 ふたりとも天国に行ってしまったけれど、やっと気がついた。

 自分の人生をちゃんと生きてなかったことに。

 ごめんね、せっかく目立つ名前を付けてくれたのに。

 まだ死ねないね。

 作家デビューしなくちゃ。

 がんばるからね。

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