いきなりのばばぁ猫🐱
「なにしてるの? ムギちゃん」
「クララと追いかけっこしてるのよ」と四つんばいになって、黒猫のクララを追いかけている妹のムギに、イナホはいいました。
イナホとムギはもう少しで高齢者といわれるおばあちゃんの姉妹で、保護した黒猫のクララと暮らしています。
「クララ、これはどうしたことなの?」
「イネちゃんがいけないんだよ」クララはイナホをイネちゃんと呼んでいます。走りながらいいました。
「どうしてよ!」
「昨日の夜、寝る前にムギちゃんに、骨がもろくなって、転ぶと危ないから、ネコみたいにはって移動しなさい、って、いったでしょ」
「いったかもしれない!」
「かも?、じゃなくていったのよ。クララは四本足だから転ばないでしょ❣ って」
「ああ、たしかに、いったわね。それでばばぁ猫になっちゃったの」
「イネちゃんがいったように、ムギちゃんは、なっちゃうんだよ。気がついてないだろうけど」
「じゃあ、この前、いきなり5歳児に、なったのもあたしのせいなの?」
「そうなの! イネちゃんいったでしょ。クララは3歳だからやんちゃだけど。ムギちゃんも5歳児みたいに甘えん坊ね、って」
「うそ、ムギちゃんのあの変化があたしのせいだなんて」
「イネちゃん、言葉にはいろんな力があるんだからね。気をつけて使わないと」
クララにいわれてあたしは気が付いた。