ぬくぬく、クララ……(=^・・^=)
最近寒くなったので、あたしの飼い主は寒がりだから、お布団のシーツが毛布の生地になった。
だから、あたしは朝、お布団から離れてあげない。
「クララ、起きてよ。今日はリハビリの担当さんが変わるから、恵子がお腹が痛い、って騒いでいるんだから、ご飯を食べさせて、落ち着かせないとトイレにこもっちゃうんだから」
それは、あんたが甘やかすから、独り立ちできなかったんじゃないの?
「それは、私にも言えるんだよね。私の収入ではマンションになんてとても住めなくて、きっと実家の離れに住んでいたと思うのよ」
ここって、恵子のうちなの?
「そうなんだよ。猫が飼いたくて、貯金もないのに勢いでマンションを買っちゃったんだよ」
ふーん、だからあたしがここにいるのね。
「そういうことね、でもいつまでいられるかはわからないけどね!」
どうして?
「恵子が病気になって、仕事を辞めて、退職金で住宅ローンを返していたんだけど、もうお金が無くなったから、もう住んでいられないのよ」
あたしはどうなるのよ。
「大丈夫よ、猫を飼ってもいいアパートを探してくれる、って相談に行ったところで言ってくれたから、安心してね」
恵子は納得したの?
「うん、クララといっしょなら引っ越してもいいって」
リハビリの担当が変わるだけでパニック起こすのに他に住めるの?
「だって、お金がないんだもの、年寄りには仕事を探してもないしね。年金は少ないしね」
恵子の年金はないの?
「あるけど、65歳になるまでは障害年金だけだから少ないのよ」
年寄りには住みにくい世の中なんだね。
「そうなのよ。クララも大変だよね、毎日いろんな人が来て、愛嬌をふるまいているもんね」
まあね、やさしい人にはこびを売るけど、苦手な人だったら隠れてるから平気よ。
「そうかあ、私は恵子がその人に慣れるのか、拒否するのか不安でしょうがないわ」
恵子は直感で、駄目だと思ったら、心を閉ざしちゃうからね。
「クララの方が恵子より大人だね」
そりゃ、そうよ、あたしは5歳だもの。
「恵子はもうじき62歳だけど、気持ちは永遠に5歳みたいだよ」
あら、やっと気がついたの。
「うすうすはむかしから気がついていたんだけど、公務員になっちゃったから、無理しちゃって病気になったんだと思っているのよ」
あんた、疲れてるんだね。
「うん、かなりね。クララに話せて少し気持ちが楽になったよ」
仕方がないからお布団から離れてあげるね。
「うん、ありがとう、可愛いね。いい子だね」
じゃあ、おやつちょうだいね。