暑くて、デロデロ、でもここは涼しいのよ……❣❣
まだ梅雨にも入っていないのに、この暑さときたら、まるで真夏のようよ。
この椅子は、飼い主の佐代子おばあさんが、パソコンで童話を書く場所なんだけど、暑いから、あたし、寝てんのよ。
この椅子にはちょうどいい感じでエアコンの風が当たるのよ。毛皮を着てるあたしには、夏はきついわ。
おやつが食べたいのに、みんな出かけちゃって、仕方がないから寝てんのよ。あたし。
今ねえ、あたしンちには、新入りの大きな男の人がやってきてね、佐代子のお部屋をとっちゃったのよ。あたしはあのお部屋の本箱の上が好きなのにさ。がっかり。
それで、今、お部屋は模様替え中なのよね。
キッチンとリビングの間にあったダイニングテーブルは向きが変わって、通れるようになったのよ、と言っても、あたしはいつも通れるからあんまり変わんないけど、椅子の位置が変わったから、涼しくて気持ちいいわ。
あたしね、6月1日に5歳になって、首のリボンをあたらしくしてもらったの。作ってくれたのはもう一人の飼い主の恵子なんだけどね。
佐代子ってば、クララ長生きしてね。でも20年以上も生きなくていいからね、だって。失礼しちゃうわ。
30年も40年も生きて化け猫になってやろうかしら。
「そんなに、私は生きないわよ。動けるうちに、お葬式代があるうちに死にたいわ。お葬式はしなくてもいいけど、人に迷惑を掛けないうちに、苦しまないで死にたいわ」と佐代子はよく言うけど、そんなに世間は甘くないとあたしは思うわよ。
あたしだって、自分が保護された猫だって、少しは記憶にあるのよ。
兄弟がいっぱいいて、もらっれくれたのが、佐代子と恵子だったんだよね。
先輩猫のキララ兄ちゃんもいて、いたずらがすぎると猫パンチが飛んできたっけ。
夜は恵子のベッドの頭の上にあった猫用ベッドでいっしょに寝たのよね。
だけど、1年がすぎたころに急にキララ兄ちゃんが動かなくなって、冷たくなって、恵子が泣いて、お花がいっぱい入った綺麗な箱に入れて、どこかに行って、骨になって帰って来たのね。
キララ兄ちゃんは天国に行ったんだって、キララ兄ちゃんのことが大好きだったおばあちゃんといっしょにいるのよ、って恵子が言ってたわ。
一人じゃないからさみしく ないのよ、って。
よかった、一人じゃさみしいもんね。
そろそろ誰か帰ってくるような気がする。
早く、おやつが食べたいなぁ。