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スキルとセンスの違い。センスとは何か?
「スキルとセンスって違いますよね?センスって教育できるものですか?」
「○○できること、みたいに言葉に出来るものはスキルになりますね。一方で、センスは「できること」ではないですよね。」
「ピアノを弾けることはスキルだけど、上手に弾けるかどうか、早く上達するかどうか、そこがセンスってことですか?」
「確かにそれもセンスと言えます。そもそも、ここで言っているセンスって言葉は、何を意味しているかを考えた方が良さそうですね。センスとは、才能をあらわす言葉なのか、それとも、感性や感覚という意味なのか。」
「センスがあるというのは、才能のことだとすると、後天的には獲得が難しそうです。才能を教育する、というのは言葉として破綻しています。」
「一方で、センスを磨くと言ったりしますよね。それは後天的に伸ばせると考えられてます。こちらは、感性や感覚で使っているのでしょう。」
「なるほど。才能なのか、感性なのか、日本語で考えた方が良さそうですね。才能について考えるよりも、感性を磨くことについて考えたほうが前向きですね。」
「いったん才能論については横においておきましょう」
「はい、先生。ではセンスは感性だとすると?」
「中途採用で考えてみましょう。人を採用するときに見るのは「スキル」です。新卒でゼロから育てるというのではない限り、前職時代にどういった経験を積んで、どんなスキルがあるから、という理由で採用するはずです。」
「そうか、経理の人がほしいのか、エンジニアが必要なのか、エンジニアだとしても、どんなことができるエンジニアが必要なのか、募集要項の時点で求めているスキルを書きますからね。」
「もちろん性格や人柄なども考慮にいれますが、スキルが大きな判断基準になっていることは間違いないでしょう。スキルというのは、何かの問題を解決するためにあるものです。」
「人を採用したいってことは、何か問題があるからってことですね?」
「そうです、事業を進めていくためには様々な問題があって、それを解決するためのリソースが足りない。だから採用するわけです。問題の領域によって求められるスキルが変わってきます。」
「そしてスキルがマッチしていれば、すぐに成果を出すことができますね。」
「しかし、残念ながらスキルで成果を出すことができるのは、すでに課題がある場合だけです。スキルというのは、何か問題を解決するためにあるものだからです。」
「問題解決の手段がスキルだと。もしアプリが必要だという問題を解決するのは、プログラミングのスキルってことか。」
「中途採用で入社したら、最初のうちは課題だらけ、問題だらけの状態なので、そのスキルで活躍できるはずです。しかし、問題がなくなっていくと、スキルだけの人は活躍の場が少なくなっていきます。活躍が目立たなくなると言ってもいいでしょう。」
「それはつらい。どうすれば良いんですか?」
「問題自体を作り出すことですね。今、取り組むべき問題はなにかを考えて、仕事を作り出すことです。そうすると、またスキルを発揮できる場面が出てきます。つまり、自分が活躍できる問題を見つけることです。」
「うわぁ、それは難しそうです。」
「そうなんです。ここにセンスが求められます。会社で言えば、誰が一番、課題や問題を見つけて、問いを作るのか。それは経営者です。経営者の仕事は、問いを作ることと言い換えても良いくらいです。」
「そして、その問いを解決するのが社員や組織というわけですね。経営者が問いをだして、スキルのある人たちが解決することで事業が進む、と。」
「解決することよりも、問題をつくること、もしくは問題をつくらないことの方が、とても難しいことです。会社が大きくなると、問いを作る側がボトルネックになります。その問題を見つけて仕事をつくることを、他の人に渡せるようになると、組織は健全に成長していくことができます。」
「仕事を作り出すのって、どうすれば良いんでしょう。無駄に仕事をしても駄目ですよね。」
「そこに必要なのが、感性としてのセンスです。センスを感覚や感性だと考えると、それは絶対的な良い・悪いというものではなく、あってるかどうかしかありません。」
「ある人からみたらセンス良いってことも、別の人からするとセンス悪いってことにもなりえますからね。」
「そうなんです。センスは合ってる同士なら良いと思えるものです。経営者と社員の感性がすりあってくると、課題を見つける側にまわることができます。」
「何を課題と思うのか、取り組むべき問題は何か、それが会社として意味があるかどうかが経営者の感覚と合っていれば良いのですね。」
「経営者とセンスが合ってくると、俄然と会社で働くことが楽しくなります。自分で考えて仕事を作り出すことができるようになれば、自分のやりたいことができるようになります。問いを作り出すということは、自分ごとになりますから。」
「そりゃ楽しいはずです」
「スキルというのは解決するために必要な手段。センスというのは問題を作りだすための感性。私からみてセンスがいいと思えるのは、良い問いを作れること。スキルがなくても解決できるような問題にできる人は、センスが良いな、と感じます。」
「そうなると、センスは教育ではなくて、合っていくということですか?」
「すりあわせ、でしょうね。センスが擦り合っていくと、擦りあった同士は「センスが良い」と思うでしょうね。最初から、すりあっている人もいれば、遠い人もいる。」
「どうすれば、センスが合っていくのでしょう?」
「決まった答えがあるわけではないですが、たとえば友人のデザイナーに聞いた話だと、弟子を育てるときは絵を描かせて、それが良いかどうかを論評するそうです。」
「絵の描き方を教えるわけではない、と?」
「もちろん教えますが、それはスキルです。しかし、センスは教えられない。だから、自分で描かせてから、それが良いか悪いかをフィードバックしていく。もちろん、良い悪いは師匠の感覚、センスです。」
「なるほど、そうして少しずつ師匠のセンスにあわせていくということですか。」
「きっと、センスを磨くには自分自身の体験が欠かせないのでしょう。」
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