マネジメントの本質が広まるなら悪いことばかりではないぞ #わたしの非常事態宣言
エッセンシャル・マネジメントスクール西條代表、サイボウズ青野代表、さくらインターネット田中代表によって発足された「わたしの非常事態宣言 〜 でも悪いことばかりではないぞ」に賛同して記事を書いています。
新型コロナウィルスの感染が広がる中、政府からの緊急事態宣言も出たことで、これまで以上に一人ひとりが感染拡大を防止するために自宅で過ごす時間が増えることになりそうです。
そうした中でも生活していけるのは、医療や物流、社会インフラを支える仕事に従事されている方々のおかげです。本当に感謝の念に堪えません。そうした方々への負担やリスクを軽減するためにも、もちろん自身や家族を守るためにも、外出を控えていきたいものです。
どうしても在宅で出来ない仕事に従事されている方々のためにも、より多くの企業が在宅勤務に向き合う必要があります。去年までは、リモートワーク(テレワーク)についての話をしても、多くの人たちが他人事でした。
(本稿ではリモートワーク=テレワークで同じ意味で書いてます。)
「リモートワークが良いのはわかるけど、やりたい人がやれば良い」「リモートワークの必要性はわかるけど、まだ良いかな」「自分たちの業種ではできないよ」といった声を何度も聞いてきました。
それが今では、経営者から現場の方まで、どのようにリモートワークに取り組んでいけば良いのか考えるようになりました。これは大きな変化です。
誰かに決めてもらうのではなく、自分ごととして取り組む。まさしく一人ひとりが「わたしの非常事態宣言」を発して取り組むべきタイミングなのだと思います。
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私たちソニックガーデンでは創業当初からリモートワークを続けて、今や10年近くの経験があります。2016年からはオフィスをなくして全社員をリモートワークにしました。
(冒頭の写真は、普段は着ないスーツを着てのリモート入社式の様子です)
リモートワークによって、一人ひとりが望む場所に住んで個人の生活を豊かにしつつ、勤務地に関係なく好きな仕事や価値観のあう仲間のいる会社で働くことができます。
そうした個人のメリットだけでなく、会社にとっても良いことが沢山あります。自社に合う優秀な人材を場所にとらわれず採用できることや、離職率の低下といった他に、マネジメントの見直しによる変化が起きることです。
これまで以上にマネジメントの本質に向き合うことで、コミュニケーションは活発になり、仕事の成果が見える化されて、無駄なことは削減されて、セルフマネジメントは進み、組織は活性化されます。それによって、より短い時間で高い成果を出すことができるようになりました。
もちろん、そのようにマネジメントの本質に向き合うことは簡単なことではありません。難しくて大変なことですが、だからこそ大きな価値を生み出すことができるのではないでしょうか。
これはオフィスにいても大事だったはずのことで、それがリモートワークになることで向き合わざるを得なくなっただけですが、そのことは大きなチャンスだと捉えることができます。
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そもそもの話、マネジメントの見直しが必要だったのは、リモートワークだからというわけではなかったと私は考えています。
日本におけるマネジメントは、管理職という言葉に表されるように「管理」という側面が非常に強くありました。いや、今もあるでしょう。しかし、本来のマネジメントは「うまくする」「いい感じにする」ことです。
「出社してないとマネジメントできない」「自宅で仕事するとサボってしまう」こうした言葉が出るのは、そもそもマネジメントが出来ていなかったということでしょう。
逆に、オフィスにいても本質的なマネジメントにしっかり取り組んでいた組織は、このタイミングで在宅勤務・リモートワークに取り組んだとしても、生産性も変わらずにうまくいっています。
今回の在宅勤務に向き合わざるを得ない状況から、リモートワークへの取り組みによって、きっと否応なく多くの企業がマネジメントの本質に向き合うことになるはずです。
もしマネジメントの転換がうまくいったなら、日本全体の生産性が劇的に向上しつつ、一人ひとりが望む働き方ができる可能性があります。そんな可能性もあるのなら、悪いことばかりではないのではないか、と思えます。
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そのためには、それぞれの企業で在宅勤務・リモートワークに、前向きに取り組んでいくことが欠かせません。
「やっぱりオフィスが良かったなぁ」「リモートワーク不便だなぁ」と言いながら取り組んでいるのは、ブレーキをかけながらアクセル踏んで進んでるようなものですから。
いずれオフィスに戻るようにといった消極的な姿勢で取り組むよりも、この機会に全社をあげて変化に取り組む方がうまくいくでしょう。リスクをとる、それこそ経営の仕事です。
また、リモートワークの難しさは、教科書どおりにすればうまくいくようなものではないことです。一律に同じ方法を適用してもダメです。それは、企業ごとにビジネスモデルが違い、組織のあり方が違い、価値観もカルチャーも違っているからです。100社100通りです。
「方法の原理」によれば、どうすれば良いか(有効な方法)は目的と状況によって変わります。
他社のやり方を参考にしつつも、自分たちならどうするのか、試行錯誤をしてみて、うまくいくまで自分ごとで取り組んでいくしかありません。だからこその一人ひとりの「わたしの非常事態宣言」だということです。
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とはいえ、今は非常事態ではあるけれど、もはや今の状態を日常にしていくパラダイムシフトも求められると考えています。今の状態は異常で、いずれ元に戻ると考えていると、いつか心が折れてしまうのではないでしょうか。
「もう一度もどりたい」と時計の針を戻そうと頑張るのではなく、より先に未来に向けて進めていくことを考えてみませんか。
今回の変化は不可逆なものと捉えてみるのです。たとえば、年齢を重ねると若い頃のような遊びができなくなります。それを悔やんで日々を過ごすよりも、歳を重ねたなりの楽しさを見つけた方が健全です。年齢を重ねるというのは不可逆な変化です。
今回、そのような不可逆な変化が全世界で一斉に起きたのだと考えてみませんか。もしくは、この状況がこの先の数ヶ月ではなく10年続くと考えてみるのはどうでしょうか。そうなると、今を耐え忍ぶというよりも、もういっそ新しい世界を楽しもうとなりませんか。
ウィルスという脅威が人類にとって大きなものだと認識されました。それは今回のCOVID-19だけでなく、この先も起こり得ることです。このことによって、人類は大きく価値観や生き方を変えていくことになるでしょう。
この変化は、とてつもなく恐ろしいものだけど、翻ってみれば新しい世界がくるのだということです。これまでのしがらみや慣習に囚われずにチャレンジできることばかりです。むしろチャンスにあふれているようにさえ思えてきます。
この非常事態から、新しい日常を作っていきませんか。
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サイボウズの青野さん、さくらインターネットの田中さんのnoteはこちら。
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この状況の中で、未来に向けて視点を変えてくれる、とても良い図をFacebookで見つけたのでシェアしておきます。
英語のオリジナルはCarl Jonssonさんのこちらの投稿とのこと↓
(今回の記事は有料エリアありません)
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倉貫義人『ソフトウェアと経営の交差点』(思考の裏側と日記)
ソニックガーデン代表の倉貫義人が、ソフトウェア会社を経営する日々で考えていることを届けていくマガジンです。ソフトウェアを扱うエンジニアの思…
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