家仕事って、本気でやるとこんなにも奥深くて面白いんだ！だがしかし…

Uターンして、住まいがマンションから戸建てへ変わり、9Fから地べた（1F）になった。
おのずと床面積も広くなるわけで。
7倍くらいかな。
広すぎる。
一人でマンションにいた頃は、「毎朝25分なんかしら家事」と決めていて、気分によってお手洗いだったり玄関だったり窓の桟だったり。だいたいこれで大掃除要らずだったんだけど。
戸建てになったらそうはいかない。
私にとっては毎日が年末の大掃除のよう。
家中の掃除機かけるだけで45分はかかる。
2人で静かに暮らしているのに、なぜに階段とはあんなにもホコリが集まるのか。
2人暮らしでお手洗い2つも要らない。
駐車場や庭の落ち葉もこまめに掃かなきゃいけないし、窓ガラス＆サッシ…多すぎる。

洗濯機は全自動から二層式になった。
最初は、使い方すらわからない。
慣れてしまえば、これはこれで小回りがきくというか、「ちょっと脱水だけ」とかできて良い面もあるけれど、日々のお洗濯でいえば全自動より圧倒的に手間がかかる。
ただ、マンションが国道沿いで外にいろいろ干せなかったので、お天気のいい日に外にお洗濯物やお布団を干せるようになったことは嬉しい。
お布団干しはけっこう大変だけど、「風にあてるだけでも気持ちがいいぞ」と思えば頑張れる。

快適になった面、他にもある。
室内に風が通る。
もう、これは本当に気持ちがよくて。
この点だけにおいても、都会のマンションには戻れない。

が、実家があるエリアは高台で風が強い。
ちょっと風が強い日の翌日は床が砂でジャリジャリに。
窓もすぐに汚れる。
夜は風で雨戸がガタガタいう音が怖くて、「窓ガラス割れやしないか‥」「屋根とか吹っ飛ぶんじゃ…」って眠れない日もある。
晴れた日の雨戸の開け閉めもだな。
全部で4ヶ所、12枚。
まあこれは慣れてきた。
そして、築40年の我が家は家の中で息が白くなるほど寒い。

決まった曜日＆時間にしかゴミを出せなくなったのも痛い。
マンションでは24時間いつでも好きな時にゴミを出せた。
回収の時間は決まっているものの、実際に回収者がくる時間はまちまちなので、「まだイケるか！？」って準備して「あ〜なんで今日に限って時間通りに来るんだよー」とか。
私の出し方に落ち度があって「回収できません」と貼られ取り残された自分ちのゴミを引きあげてくるというのは、なんだか虚しい。
「明日は燃えないゴミの日だから、今日はここの整理をしよう」とか、ゴミ出しひとつ変わっただけでいろいろ生活の仕方も変わる。

ふとした時に「母は、人並み以上に仕事もしながら、これ全部1人でやってたのか…」と。
たしかに母は「お母さんがいなくなったら、お前ら思い知るからな」と、父と私によく言っていたな。
これか…これなのか。
今さらながら母の大変さが身にしみる。

その日のお天気、太陽の傾き具合や風向き、風の強さ、湿度、気温で作業を決める。
ちょっとした田舎にいたら当たり前のこと。
東京ではせいぜい「明日はチャリ通やめよう」「折りたたみ傘が必要だ」くらいのことで、家事に関しては全天候対応型の作業が多く、天気とか感じとる必要もなかったし、気にも留めなかった。し、お天気に合わせて行動する余裕もなかった。
今では、それが異常だったんじゃ…と思う。
「お天気に合わせて暮らす」は、私を謙虚にしてくれる。
私が「暑い」とか「寒い」とか「雨うざい」とかブーブー言うと、母は「お天気の悪口言うな」っていう人で。
そういえば母方の祖母は、昇る朝日と沈む夕日に向かって手を合わせ、ほっかむりを外し頭を下げ、「お天道さま、今日も1日ありがとうございました」って言う人だったと聞いたことがある。
母の教えは祖母の教えなんだな。
毎日、太陽が昇って沈むまでがあっという間で「嘘でしょ！」って思うけど、それでも太陽の恩恵を受けられるお天気なだけで幸せで。
雨なら雨で、晴れの日よりできることが少ない分、溜まっていた別の作業ができたり、仕事がはかどったり、砂埃が落ち着くという利点もある。

雑誌や本で見る「丁寧な暮らし」的なやつでは、季節に合わせて梅仕事やお味噌やお醤油を作ったりとか繕いものをしたり。
昔の人が普通にやっていたこと、今ではとても贅沢な時間のように感じる。
なんか、変なの。
家のことは、本気でやったら働きに出る暇なんて、ない。

“家事”って言葉は、なんだか雑用っぽい感じがするけど、向き合ってみると立派な仕事だ。
家のこと、家の仕事。
家を整える「家仕事」。
今のご時世、テレワークっぽいけど、違う。
下手したら、普通の仕事よりよっぽど頭使うわ。
今までろくにやってこなかったツケで、手際も悪いしいまいち時間の使い方も掴めていない。
手の抜き方さえわからない。

男性も女性も、子育てとか介護をしながら仕事を持って、家のことこなして、こぎれいでいる人って超人か。
1日の時間の使い方って、いったいどうなってるんだろうか。
尊敬の念。
普通の人が普通にこなせること、私にはこなすスキルがないのだろうか。

今は発見があったり新鮮でもあり、大変ながらも楽しくできるけど。
時々発狂する。
お掃除ひとつ、お洗濯ひとつ、料理もしかり、どれもものすっごい奥が深い。（お料理の話はまた今度）
知恵も必要。技も必要。
試行錯誤しながら精度をあげて、効率化、合理化をはからないと、仕事をする時間が取れない。
ひとり暮らしの時は売るほどあった「自分の時間」、あれはどうやったら捻出できるんだっけ。

今年はやたら手が荒れて、高校生ぶりぐらいにハンドクリームつけるようになった。
せっかくつけた直後に水仕事したくない、油分が落ち着くまではPCにも触りたくないと思う。
ハンドクリームをつけるタイミングを見極めないと…その数分が惜しい。
もともとそんなに見ないけど、鏡を見る時間もなく。
気がついたらヒゲが生えていた！
こりゃいかん。