「徒歩20分圏内に本屋or古本屋が1店」義務化されないかな
Uターンして「これはキツい」と感じるのは、「書店がない町に暮らす」ということ。
唯一の徒歩圏(歩いて30分)の本屋さん、今年の1月に閉店してしまう。
私にとって「良い本屋さん」ではないけれど、あるのとないのとでは大違い。
「良い本屋」、町に1店は欲しい。
古本屋さんでもいい。
大きな本屋さんは車で20~30分圏内に何店舗かあるけれど。
選書のセンスが、私が求めている「良い本屋」と違う。
半分以上がマンガ。
小説の選書は素人並みの浅さ。
ビジネス書、実用書の少なさと選書の陳腐さ。
テンションは上がらない。
その書店ならではの個性がなく、店員さんの熱量も伝わらない。
経営者や店長・書店員さんの好み、力を入れているジャンルが汲み取れるような選書でないと、ワクワクしない。
これは本屋さんに限ったことではないんだけど。
本屋は、その町に暮らす人の文化を育てるための店。
商売は需要と供給だ。
選書のセンスは、その周辺に暮らす大衆のセンス。
げんなりする。
本好きをワクワクさせないで、誰のための本屋なのか。
本を読みもしないその他大勢向けの暇つぶしの場ではなく、本好きが唸るような選書や企画棚がある方が活気に満ちるのに。
そうなると、そういう選書ができる人材が必要なわけで。
いないんだろうな、そういう人が。この町に。
「町の本屋が消えていく」ということは、人口減少と同じくらい危機的なことだと思う。
人の営みに文化がないなんて。
私にとって、雑誌が青春だった。
微妙な田舎に鬱々としていた10代の頃、雑誌はとてもワクワクするものだった。
90年代の雑誌は今より企画に夢があったし、お金もかかっていた。
クリエイターにも花があり。
私にとってはキラキラする世界の入り口だった。
私の両親はとても厳しくて。
テレビとマンガは禁止されていた。
そもそも家にテレビがなかったので、ゲームなんて両親にとっては理解不能。
それらは両親にとって「見るとバカになるもの。バカがやること」だった。
上からタライや一斗缶が降ってきて、当たった人を笑うような番組のことを指していたんだと思う。
学校で流行りのバラエティやアニメの話題には一切ついていけず、つらい思いもした。
どんなに訴えても、聞く耳は持ってもらえず。
ただ、本は自由で。
本屋さんは私にとってのパラダイス。
買ってもらう本は両親に検閲されていたけれど、雑誌は割とスルーだった。
高校生になってバイトを始めて200万ぐらい稼いだけれど、だいぶ本に替えた。
雑誌のライターになりたくて、夢も叶えた。
もちろん、今でも本も本屋さんも大好き。
東京に住んでいた時は、ほぼ毎日本屋さんに行き。
最低でも1軒で100冊は手に取る。
アイデアの種は本屋さんにある。
新たな知識や分野との出会い、発見がある。
悩み事の答えも本屋さんにある。
欲しい本を全部買えるほど余裕はない。
内容はもちろん、紙質、ページのデザイン、書体、字間、行間、余白、装丁、価格、いろんな材料を加味して「買う=家に連れ帰る」か決める1本勝負みたいな時間。
始めたきっかけは「本」ではなかったけれど、西日暮里BOOK APARTMENTで貸し棚本屋さんにプチ出店していたこともある。
実家へのUターンと共に引き揚げてしまったけれど。
コロナが落ち着いて、東京への行き来がのびのびできるようになった時に、まだ棚が空いていたらリベンジしたい。
棚は80個くらい。棚ごとに選書する人が違うこの本屋さんは、ものすっごいワクワクする選書だった。
全部埋まれば80人で選書することになる。
・絵本だけの棚
・団地にまつわる本だけの棚
・絶版になった本だけの棚
・時間軸にまつわる本だけの棚
・台湾に特化した棚
・「豆」繋がりの本だけの棚
・悪役にフォーカスした棚
・装丁を真っ白なブックカバーで統一した棚
・三浦展さんご本人の棚 etc…
普通にマンガや小説もある。書店員さんとか古本屋さんのプロの棚もあったし。
今も同じ棚があるかわからないけれど。
運営がHAGI STUDIOさんだったこともあり、建築やまちづくりの本も多く。
「HAGI STUDIOさんが新たに始めたプロジェクトだから」っていう、建築やまちづくりを学んでいる方、携わっている方のお客さんも多かった。
近所の本好きの方が「地域との接点」として出店を検討されていたり。
ここでの出会いは本当に未知で、棚主同士の交流やお客さんとの対話には刺激があった。
私が、今持っている本は雑誌も含めて2000冊くらい。
蔵書の管理はブクログを利用している。
登録したのは1400冊くらいかな。
ブクログは、登録がない本をユーザーが追加できないので、600冊くらい登録できていない。
正直、本棚を見られるって、私にとっては裸を見られるのと同じくらい恥ずかしい。
登録したけど非公開の本もアリ、、
今、自分が暮らす町でも、売るほどある本をツールに企てていることがいくつかある。
それは、東京と同じことをしてもたぶんダメで。
この町では、この町にフィットするやり方を。
ただ、これはいわばアウトプット。
自分自身のインプットに関しては、策が見当たらないまま…
だから、徒歩20分圏内に本屋/古本屋が1店、義務化してほしい!
千葉県や袖ケ浦市の条例でもいい!