大好きだった町も部屋も、さようなら。混乱の中、2ヶ月かけて引っ越した
向島はスカイツリーができてから家賃相場が上がったけど、15年間家賃は据え置きだった。
85000円で15年、払った家賃は単純計算で1500万円超!震え上がる。
父に「その価値あったか」って聞かれて、「プライスレスな経験できた」と交わした。
思えば、入居してすぐ真上階からの水漏れ被害に遭ったけど、すぐリフォームしてくれたし、代わりのお部屋貸してくれたし、手続き大変だったけど保険で家財マルッと買い換えられた。
さようなら向島。
何より「向島」っていう住所、気に入ってた。
花街も、隅田川の桜並木も大好きな桜橋までも歩いて5分。
「着付け覚えたい!」って言ったら、友達のおかげで投扇興までできちゃったし、すれ違うおじちゃんやおばちゃんが着方のコツ教えてくれたり、直してくれた。
向島の人はぶっきらぼうに感じても「向島が好き」って伝えればみんな優しくしてくれる。
あ、でもちょっと特殊な点も。
住所が「向島」でも「見番通りあたり(料亭街)=向島」な方も多い。
「水戸街道の向こう側」で向島を名乗ると「ああ、小梅ね」と言い直されることもある。
そういうところ、嫌いじゃない。
心を開いて飛び込むと、(いい意味で)お節介な人が多い。
この「お節介」には本当に助けられてきた。
へたしたら田舎より「村」感が強くて、噂好きだし、新しいもの好き。
好き嫌いはハッキリしていて物言いに遠慮がない。
でも心と心でコミュニケーション取るというか、人があったかい。
母が亡くなったのは5月21日。
最終的に引越し屋さんに来てもらったのは7月21日。
2ヶ月間、体はずっと実家に。
必要なものは、向島のマンションへせっせと取りに戻った。
大変だったけど、電車で1.5時間。
頑張れば都内まで通勤もできる距離に実家があって良かった。
車を持っている墨田の飲み友達(あだ名はおじいさん)が、毎週お休みの日に車で運んでくれた。
本当に助けてもらった。
実家からいろんなところに電話をかけて、契約を解除したり。
必要なものを取りに帰った日は、荷造りをしたり、区役所に行ったり。
粗大ゴミの引き取りは、コロナ禍で人手を減らしているのか1ヶ月も先。
しかも、日時は先方からの決め打ち。
曜日とか時間とか選ぼうとすると、もっと先になっちゃう。
早めに電話をしていたのでギリギリ間に合ったけど、「来週のどこか」ぐらいの感覚だったから驚いた。
15年前に買った冷蔵庫。
壊れてはいなかったので捨ててしまうには心が痛む。
何軒かリサイクルショップに電話したけど、軒並み「10年以上前のものは使えていても引き取りません」。
友達で欲しい人いたら…とSNSで呼び掛けたけど、引き取りの日時が合わない。
おじいさんが「うちで預かってあげるよ」と言ってくれたので、甘えてしまった。
墨田区近辺で冷蔵庫欲しい人いたら言ってください。
15年住んだ部屋、荷造り終わる気がしなくて半ベソ。
後半はただただ箱に詰めただけなので、荷ほどきで再び苦しんでいる。
っていうか、実家に物が多くてまだ1箱も荷ほどきできていない!
荷造り丸投げプランみたいなのもあったんだろうけど、どこに何が入っているかわからなくなりそうなので自分でやることにした。
自分でやったけど、どこに何を入れたのかサッパリ把握できていない。
季節が変わって要るものがある時は、全20箱ガサガサあさって探し出す。
…果てしない。
今回の引越しでお世話になったのは、パンダでおなじみサカイ引越しセンターさん。
同日の搬出搬入だと、私が実家に着く前に荷物が先に着いちゃうとのこと。
(私は乗せて行ってもらえないらしい)
父は指示とかできないので、夕方搬出・翌日午前搬入で一晩預かってもらえることに。
両日3名ずつ来てくれて、粗大ゴミを1階まで出すのもやってくれて、搬入は家の1・2F、倉庫の1・2Fとテキパキ分けて配置してくれて45650円!
想像してたより安かったし神業作業だったし、サカイさんにお願いして良かった。大満足。
がらんどうになった部屋は、自分が暮らしてた部屋とは思えない空間。
音がやたら響いて寂しさ増す。
けど、感謝を込めてピッカピカにした。
管理会社さんから「クリーニングの業者が入るから掃除はいい」と言われたんだけど、なんか気がおさまらず。
頑張ってしまった。
母が亡くなり、寂しさも悲しさもお腹いっぱいだったけど、この町とこの部屋を離れる寂しさは別腹だった。
部屋も大好きだった。
隅田川の花火、目の前にあがる年イチのスペシャルデイあるし。
天井高2900で開放感があって。
玄関側だけどスカイツリーも見える。
お風呂とお手洗い別、脱衣室も洗面台もあって。
コンロはガス。
宅配ボックスもオートロック&何かあれば警備会社さん来てくれる。
1Fは便利なセブンイレブン。
キレイ好きでマメな管理人さん。
地下のゴミ置き場、いつも清潔だった。
廊下に蛾とかカナブンとかいると、とってくれた。
駐輪場にチャリを置いたまま引っ越しちゃう人がたくさんいて。「捨てられないし売るわけにいかないから、友達で欲しい人がいたら持っていっていいよ」って整備してくれたり。
野菜の交換コしたり。
新しいもの好きなオーナーさんのおかげでハイテクなカードキー導入されたり、エアコンも省電力のに取り替えてくれたり。
管理会社さんもフットワーク軽く、担当の方が器用で。
こまめに足運んでくれて、業者さんを呼ばずに手直しで対応してくれたこともいくつもある。
管理人さんや管理会社さんって、部屋を決める時の材料の中で意識は薄めだし、実際に暮らしてみないとわからないことも多い。
どちらも良い方に恵まれたのはラッキーだった。
ちなみに、私のプレゼンで「住みたい!」ってなった友人がいたので管理会社さんの電話番号を伝えたら、「今は97000円」って言われたらしいです。それでも、その価値がある部屋・建物・立地・町だと思う。
今はどんな人が暮らしているんだろう。
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