夜のなか
私はこの絶望的な経験をするためにここに来たのだ。
夜の電車の中で、流れていく光を見ながら思う。
私がわたしに戻るために、ずっと探していた感情の破片。
ここにあった。心の底から愛しいと思えることと、必要とされない現実と。
あなたはわたしを残して去っていく。
なんの約束もなく、なんの後悔もなく、ただ「楽しかった」という言葉だけで。
同じくらい痛みを抱えていたとして、わたしと分かち合う気はないのだとまた絶望して。
それでも素晴らしい時間だった。
全ての喜びと、痛みと。
輝かしい日々。
愛がなんなのか知りたかったわたしに、容赦なく教えてくれた。
かけがえのない人。
わたしを置いて去っていく。
ただそれだけ。