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ちひろに会いにいこう:安曇野ちひろ美術館

こんにちは

夏の休暇を利用して訪ねた内の一つ、長野県安曇野市。

北アルプスの麓には田園風景が広がり、湧水に恵まれ、その瑞々しい水を活用したわさび農園が特徴的な地域です。

安曇野に来てみると目に映る風景と程よい気温の吹く風、呼吸するだけで心地良さを感じます。

では、今回は安曇野にある建築を訪ねたお話を綴っていこうと思います。

日々の合間にのぞいてもらえたら嬉しいです。

|安曇野ちひろ美術館を訪ねて

訪ねた建築は、「安曇野ちひろ美術館」(北安曇郡松川村)
安曇野市街地から離れたところにあり、広大な敷地にポツンと建物がある、そのような印象を受けました。

もう少し言うと、遮るものがなく開けた豊かな自然の風景が強調され、調和するように公園が広がりその中の一角に安曇野ちひろ美術館が建っている、という感じです。

それではまずは、作家いわさきちひろ氏とちひろ美術館について知っていこうと思います。

いわさきちひろ
1918~1974
福井県武生(現・越前市)に生まれ東京で育つ。藤原行成流の書を学び、絵は岡田三郎助、中谷泰、丸木俊に師事。第二次世界大戦後、紙芝居や教科書、絵雑誌、絵本など子どもの本を中心に画家として活躍。生涯にわたって子どもや花を描き続けた。1974年没、享年55。現存する作品は約9600点。

ちひろ美術館 公式サイトより引用

ちひろは、戦時下に青春時代を過ごします。女学校に入った12歳のときに満州事変が起こり、女学校を卒業した17歳のときに日本が中国への全面戦争を開始。日本の敗戦で第二次世界大戦が終わったのは、26歳のときでした。
(中略)
自身の戦争体験から、「二度と戦争を起こしてはならない」と強く決意し、平和な世界の実現を願ったちひろ。その思いは、戦争をテーマにした作品だけではなく、ちひろのすべての作品の根底にあります。

ちひろ美術館 公式サイトより引用


美術館は安曇野ちひろ公園内にあります。
館長を務めている黒柳徹子さんのトットちゃん広場やいわさきちひろが過ごした別荘「黒姫山荘」が移築されています。

安曇野ちひろ美術館の竣工は1997年、建築家 内藤廣氏が手掛けた建築です。
内藤氏は東京のちひろ美術館も設計していますし、ボクのnoteで紹介した富山県美術館も内藤氏の設計です。

安曇野ちひろ美術館は、1997年、ちひろ美術館・東京の開館20周年を記念して開館しました。
安曇野は、信州出身の両親を持つちひろにとって、幼いころから親しんだ心のふるさとでした。なかでも、美術館のある松川村は、戦後、両親が開拓農民として暮らした土地で、ちひろは折りにふれてこの地を訪れ、多くのスケッチも残しています。 安曇野の自然にとけこむような建物は、内藤廣の設計によるもの。周囲には北アルプスを望む53,500㎡の安曇野ちひろ公園(松川村営)が広がり、清流、乳川(ちがわ)が脇を流れています。
ちひろの作品や人生に出会う場所であるとともに、世界の絵本画家の作品にも出会える美術館です。子どもから大人まで、日常を忘れ、一日ゆっくり過ごすことができます。

ちひろ美術館 公式サイトより引用

訪ねた日は開館してまもなくでしたので、人はほぼ居ない中、学芸員さんも気さくに話しかけてくれて、ちひろさんの作品についてなど教えてくれました。

また、学生服を着た人が美術館のお手伝いをしている光景を目にしたのですが、地域の学校とも連携をしているようで地元を挙げて安曇野ちひろ美術館を運営していこうとしている取組は素敵ですし、この場所を大切していこうとする意志を感じました。

美術館は一般的に静かな空間の印象がありますが、安曇野ちひろ美術館は親子で楽しめる場所なので賑やかな雰囲気でもありますし、小さな子供にも配慮した安全で健康的な場所だと思います。


|優しい時間が流れる場

ここからはボクが目にした、感じた安曇野ちひろ美術館のお話をしていきます。
もうちょっとだけお付き合いください。

美術館の中に入ってみると、向かい入れるように中庭が目に入ってきます。

そこには草木が程よく植樹され、館内に行き渡るように中庭からの光が床や壁を照らしています。
一方、美術館の入口の上部はガラスになっていて、そこからも光が館内に注ぎ込まれてきます。

そう、安曇野ちひろ美術館内は人工的な照明は適度に抑えられていて、外から自然の光が多く差し込むのが印象的ですし、館内の空間が柔らかな雰囲気になっている背景にはこうした点があるのではないかと思います。

さらには美術館内の床カベ天井に目を移すと、
木材(カラ松)が多く使われ、壁面は土色の珪藻土仕上げになっています。

細かく見ていくと、
木は良い感じに「味」が出てきていますし、珪藻土の壁のカドは丸みのある仕上がり。
ささいな部分ですが、丸みにより全体に柔らかい印象を与えてくれ、空調や機材などは木の格子で隠されています

安曇野ちひろ美術館建築空間は、
こうした一つ一つ工夫と木と珪藻土の質感によって温もりが作り出され、優しい時間が流れる空間が演出された建築だとボクは思います。

現在、安曇野ちひろ美術館ではいわさきちひろ没後50年の企画展が開催されています。
ちひろの絵に触れながら、その背景にあるストーリーを知ることが出来ます。また展示室だけに限らず、館内にちひろの言葉や絵をベースにした玩具作品が点在しているので、子供たちも楽しみつつも学びもある面白い企画展になっていると思います。


東京のちひろ美術館でも開催されていますので、気になる方は公式サイトをチェックしてみてくださいね。

この先の季節、安曇野周辺はとても過ごしやすい気候になると思いますので、ぜひ旅先の一つにしてみてはいかがでしょうか。

ということで、
今回はこの辺りで失礼します。

ここまでご覧くださりありがとうございました。

ではまた。



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倉嶋 洋介
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