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穏やかな時が流れる庭園:詩仙堂丈山寺
こんにちは
京都には多くの寺社とともに「庭園」が点在しています。
それも個々で見ていくと時代も違いますし、さらにその時代の背景や仏教の宗派によって造られた「庭園」も違います。
いつの時代で、どんな価値観で、表現された庭園なのだろうか、そんなところも考えながら訪ねてみるのも深みが増すのではないでしょうか。
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ということで、
ボクが訪ねた内の一つ、「詩仙堂丈山寺」のお話をしていこうと思います。
日々の隙間にのぞいてもらえたら嬉しいです。
それでは
|詩仙堂丈山寺とは
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まずは、詩仙堂丈山寺についてみていこうと思います。
詩仙堂丈山寺は現在、曹洞宗の寺院として現存しています。
始まりは戦国時代(安土桃山時代から江戸時代初期)の武将で文人であった石川丈山(いしかわ じょうざん 1583年~1672年))の終の棲家として建てられた山荘。
丈山が晩年に漢詩や書、作庭に励んだ住居であったという歴史の流れがあります。
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もはやここは外なのか室内なのか
詩仙堂は、正しくは「凹凸窠(穴冠に果)」(おうとつか)と呼びます。凹凸窠(穴冠に果)とは、でこぼこした土地に建てた住居という意味です。
凹凸窠の中心には、江戸時代の絵師、狩野探幽(1602年~1674年)が描いた中国の漢晋唐宋時代の詩人三十六人の肖像画があり、各詩人の肖像画の頭上には、石川丈山が隷書体にて記した漢詩が書かれています。
四方の壁に掲げた”詩仙の間”を中心としていることから、現在は「詩仙堂」と呼ばれています。
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詩仙堂に着くとまず目に入るのは「小有洞(しょうゆうどう)」と言われる竹の門。
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そこから見える石階段や石畳に注がれる木洩れ日、サァーっと竹が揺れる音を聞きながら詩仙堂に続く道を歩くだけでも心が癒されます。
そして詩仙堂に着き、室内に入れば静寂な庭園(唐洋庭園と呼ばれる枯山水庭園)が広がります。
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本当に人工的に整備したのか、と思うほど自然に囲まれた情景の庭。
そんな静かな空間に、トンッ、どこからか聞こえる鹿おどしの音が庭園に響きわたります。
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詩仙堂の庭園は実際に散策することも可能なので、ここへ訪ねた季節によって見せてくれる自然の表情を感じられるのではないでしょうか。
|柔和さをつくりだす「丸み」
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ザっと詩仙堂丈山寺の概要をお話しましたので、ここからはボクの体験した詩仙堂をお話していきますね。
詩仙堂に居ると、落ち着く、穏やか、静寂、優しい、温かみ、そんな印象を受けます。
それって何でなんだろう、って思っていました。
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ボクなりに考えてみたのですが、
先ほど挙げた印象を一言で表すなら「柔和な空間」で、そうした印象を受ける背景に「丸み」があるのではないかと思ったんです。
気づいたところをいくつか挙げていきますね。
唐様庭園と言われる枯山水庭園のサツキの低木は中国の山々に見立てたとされています。そのサツキは丸く整えられています。
室内から眺める庭園は自然と調和した穏やか姿の背景には丸みのあるサツキも効果を発揮しているのでは、と考えられます。
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丸みを帯びたサツキの低木
室内の柱、初めからかはわかりませんが、長い年月によって現れる独特のツヤ感と共に角が丸みを帯びた柱になっています。
伝統的な木造建築は木部が露出していますし、ちょっとした加工、デザインが意外と室内空間の印象を変化させます。
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木目も浮いてきて渋い
庭園の外に出てみると、詩仙堂が数寄屋造り的な佇まいの中で、屋根に注目してみてほしいです。
ほんのり膨らんでいます。
「むくり屋根」といって上から下に向かって緩やかに膨らんだ屋根のことを言います。
そこに合わせて一部に茅葺の屋根になっている意匠もまた建築全体に柔らかさを出していると思います。
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上方に向かって膨らんでる
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と、気づいたところを挙げてきましたが、
「柔和な空間」に潜んでいた丸みを帯びた姿形がボクのように詩仙堂に訪れる人たちの気持ちを穏やかにしてくれるのではないでしょうか。
詩仙堂に訪れる機会がありましたら、方々に散らばる「丸み」を探してみてほしいなって思います。
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詩仙堂丈山寺は紅葉の名所として有名です。
その時期の姿も見てみたい思います。
もし紅葉のとき、それ以外でも四季ならではの詩仙堂のお話があればお聞かせください。
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ということで、この辺りで失礼します。
ここまでお付き合いくださりありがとうございました。
ではまた
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