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「農業は筋トレ?」体力勝負かと思いきや意外と違った話
倉持竜太です。農業を始める前、「体力がないと続かないだろうな」と思っていた。東京でサラリーマンをしていた頃はデスクワークが中心で、運動といえば会社帰りにジムに寄るくらい。そんな自分が、長野で畑を耕して野菜を育てるようになったのだから、当然最初は体力的にきつかった。
朝から晩まで畑に出て、土を掘り、苗を植え、水を撒く。収穫の時期には重いコンテナを運ぶこともある。最初の頃は「農業ってやっぱり筋トレだな」と思った。実際、農作業を続けるうちに腕や脚の筋肉がついて、東京にいた頃よりも明らかに体が丈夫になった。でも、それ以上に気づいたのは、「体力がある=農業ができる」わけではないということだった。
実は農業って、やり方次第で体の負担が大きく変わる。例えば、しゃがんで苗を植える作業。最初はひたすら前かがみになっていたけれど、これを続けると腰にくる。ある日、先輩農家さんに「腰じゃなくて足を使え」と言われて、スクワットのような姿勢で作業してみたら、驚くほど楽になった。
また、収穫した野菜を運ぶ時も、昔は片手でコンテナを持っていたけれど、体の重心を意識して両手で抱えるようにしたら、疲れにくくなった。こういうちょっとした工夫が、長く続けるためにはものすごく大事になってくる。
それに、農業は筋肉だけじゃなく「考える体力」も必要だ。天気が変われば作業計画を変えなきゃいけないし、どの作物をどのタイミングで植えるかも戦略がいる。単純に「体力があるからなんとかなる」という話ではなく、むしろ「どう体を使うか」「どう作業を組み立てるか」が大事なんだと実感した。
東京にいた頃は、体を鍛えるためにジムに通っていた。でも、今は農作業自体がトレーニングになっているし、ただ筋肉をつけるだけじゃなく「どう疲れずに働けるか」を考えるようになった。これは、実際に現場に出なければ分からなかったことだと思う。
農業は確かに体を使う仕事だけれど、闇雲に筋肉を鍛えればいいわけじゃない。効率よく体を動かし、無駄な負担を減らすことが、長く続けるコツだと気づいた。もし「農業は体力に自信がないと無理」と思っている人がいたら、そんなことはないよと伝えたい。工夫すれば、誰でも続けられるし、むしろ体に優しい働き方ができる。
これから農業を始める人は、ぜひ「無理をしない体の使い方」を意識してみてほしい。長く続けるためには、筋力よりも知恵が必要だということを、これからも実感しながらやっていきたい。