子どもたちの絵が捨てられない
幼稚園の元園長の70代女性Uさんの悩みは、園児たちが描いてくれた絵です。卒園式に園長先生の顔をクレバスで描いてプレゼントしてくれた画用紙が部屋いっぱいに積んであります。その数、20数年分です。
親の代からの家は広すぎるくらいで、これまで置き場所に困ることはなかったのです。しかしそろそろ老人ホームの入居をと考えた時、この作品を持っていけないことに気がついたと相談を受けました。そこでUさんに質問しました。
「もし大雨で雨漏りがして、絵が水浸しになったらどうしますか。1枚1枚ドライヤーで乾かしますか」
Uさんは少し考えて「捨てます」とおっしゃいました。記念品が、自分にとってどれほど大切なものか、もう一度考えてみてください。
『老前整理の極意』2018年 NHK出版 ラジオ講座「こころをよむ」テキストより