ワークショップを実施する価値とは、改めて
普段からワークショップのファシリテーターを担うことが多く、自分自身も様々なワークショップに参加してきましたが、ワークショップを実施する価値を改めて考えてみました。
ワークショップとは協働的で実践的な学びの場である
ワークショップには様々な種類があります。地域住民と一緒にまちづくりについて考えるワークショップ、教育現場で実施する体験的な学びのワークショップ、企業が実施する問題解決のためのワークショップなど、その目的や実施形態、参加者層など様々です。
様々なワークショップにおいても共通点があります。参加者が主体的に参加し協働する、机上だけではなく身体性を伴う実践的な場である、参加者が学び成長する、といった点です。理想的にはそれらの特徴が同時に実現することでワークショップの効果が高まると思います。
ワークショップ以外でも協働的で実践的な学びはできる
一方で、「参加者同士の協働」や「実践的な場」や「参加者の学びと成長」を実現する方法はワークショップだけではありません。通常の仕事の中でも協働は起きますし、プロトタイピングなどの実践的な活動もありますし、日々の振り返りにによって学びと成長を実現することができます。
そのように考えると「協働」や「実践」や「学習」といった個々の要素はワークショップを捉える特徴ではありますが、それだけでワークショップをすべて説明するには不十分な気がします。
ワークショップを「個々の点」ではなく「ひとつづきの線」として理解する
自分がこれまで実施してきたワークショップを振り返って「今回は上手くいったなー」と思うのは、「参加者の興味や現在取り組んでいる内容と重なっているとき」です。「業務改善を実施したくてなんとか突破口を探している」という人と業務改善ワークショップを実施したときや、「会議をもっと上手く回すためにファシリテーションを学びたい」という人とファシリテーションワークショップを実施したときは、やはりワークショップ自体も盛り上がりますし、参加者も前のめりで活動するのでワークショップの結果も具体的かつ斬新なアイデアが出たりします。
しかし、「今すぐ必要としているわけじゃないけど、なんか役に立ちそうだから参加しよう」という参加者が多いワークショップでは、「上手くいった感」は得られず、参加者自身も「もっと具体的な話を聞きたかった」などの消化不良になりがちです。セミナーやe-Learningであれば「時間のあるときに知識として学んでおこう」ということができますが、ワークショップでの体験は「知識」として溜めておくことはできません。
そのように考えるとワークショップは「個々の点」として捉えるのではなく、「ひとつづきの線」として捉えると上手くいくのではないでしょうか。つまり「この段階の、こういうスキルの人に、このワークショップに参加してもらう」というやり方ではなく、「〇〇という課題に今まさに取り組もうとしている人が、その取組の一環としてワークショップに参加する」というイメージです。ワークショップを「あったら良いなというもの」として捉えるのではなく、「今これがなかったら上手くいかないというもの」として捉える必要があります。
ワークショップは「演出」であり、ファシリテーターは「演出家」である
このような特徴を持つワークショップを別のものに喩えるならば、映画や演劇を創る時の「演出」と言えるのではないのでしょうか。演出は、元になる「作品」がなければ存在しませんし、「俳優や舞台装置」がいなければいくら演出しても映画や舞台を現実化することはできません。演出は、作品の意図を汲み、それを実現するための流れや手法を整え、俳優や舞台装置といっしょに現実に落としていく活動です。そして演出家はそれを担う役割です。
そのように考えると、ワークショップは事業や企画を実現するための演出であり、ファシリテーターはその演出家と考えるとしっくりきます。
・・・と、ここまで書いてきてなんですが、ファシリテーターの一般的な定義である「中立的な立場でプロセスの進行を促す」と考えると、演出家とファシリテーターをイコールとするのは無理がありますね。。
ワークショップの価値とは「クリエイティビティと現実化」
今回改めてワークショップの価値を考えてみて、私のやりたいワークショップの価値は「あるテーマをクリエイティブに現実化するための演出」であると整理できました。
一般的なワークショップは「参加者のクリエイティビティを引き出す場」として実施されることが多いですが、私の場合は「より参加者と企画に近く入り込んで一緒に活動し成果を出していくワークショップ」を実施するイメージです。このようなワークショップは、実施可能なシーンが限定されるとは思いますし、参加者に求めるハードルも高いかもしれません。しかしだからこそ単なる「セミナーやe-Learningのようなパッケージ」ではなく、わたしがやる価値があるものになると考えています。
さて、これをどのように自分のビジネスにしていくか、どのように顧客に提案して価値を理解してもらうか、考えていきたいと思います。
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