見出し画像

定年制は廃止?

2020年9月に、定年制は廃止にして、自由な選択肢から選べるようにするのが良いとブログに書きました。

2022年のデータでは定年制を廃止した企業は、まだ4%しかありません。

日本生命を定年前に退職してライフネット生命保険株式会社を創業し、現在は立命館アジア太平洋大学学長である出口治明さんの話を聞いて腹落ちしていました。

定年制度は高度成長期の産物です。工業化を推進するための制度です。新卒一括採用、年功序列、終身雇用、定年がワンセットです。

この制度は工場労働者を確保するための仕組みとして作られました。工場労働者は真面目に正確に効率的に与えられた役割を果たすことが求められ、日本では優れた工場労働者を産み出すための教育が行われました。

私もメーカーに新卒一括採用で入社し新卒研修とOJTで教育を受けました。出社と退社の時間は決まっていてタイムカードで管理されました。昼休みの時間も決まっていて12時になるとオフィスの照明が消され、一斉に社員食堂に行き昼食をとりました。しっかりと時間管理されていたなぁと思います。

この仕組みは成功して、日本は世界有数の工業国となり、「ジャパンアズナンバーワン」と称えられましたね。

しかし世界の中心はメーカーからサービス産業にシフトしていきます。アイデアが利益を産む時代です。アイデアは管理された環境では生まれにくいものです。

私はネットの新規事業を開発するチームに異動して管理職になった時、時間管理をゆるくしました。就業時間に部下を連れて美術館や写真館に行ったりしました。アイデアが生まれる自由さを提供しようとしていました。

人生100年時代と言われ、高齢化社会を迎え、遅ればせながら日本でも新しい仕組みづくりを模索しています。しかしまだまだ多くの企業では定年制は残り、雇用延長という逃げ道に甘んじていますね。

定年制は企業の新陳代謝に有効な仕組みでもあります。企業だけでなく、終身雇用のぬるま湯につかってきた社員にとっても人生を考え直す良いタイミングでもあります。

しかし、一律年齢なのだろうかと疑問に思います。定年制は無理やりに年齢を意識させられます。人それぞれなのに、年齢という単一の尺度で人を切ります。その結果、
「もう歳を取ってしまった」
「私の役目は終わってしまった」
「もう引退でいいや」
とまだまだ元気なのに、やる気を削がれます。

年齢に意味はない

出口治明さんはそう言いました。まったくその通りだと思います。

前職の定年準備研修で話をされた日本マンパワーの75歳の先生も「実年齢ではなく、機能年齢の時代」だと言っていました。機能年齢とは良い表現だと思いました。

研修のメモも人生訓です。
60過ぎたら、歳を意識するな
一度のんびりすると、脳の老化が加速する
現役だから元気
外に出る。歩く。好奇心を絶やさない

健康寿命を延ばすためにも、人は働き続けたほうが良いです。これは実感しています。

定年前でモヤモヤしている後輩や知り合い、一方で自由なスタイルで意欲を持って働き続けている先輩諸氏を見るにつけ、定年制云々よりも元気なうちは働き続けられる選択肢がいろいろと増えていくのが良いと思います。

定年制で一律に切るのではなく、それぞれの選択で高齢者が生き生きできる社会で、ジャパンアズナンバーワンになれば、「失われた30年」から脱出できることでしょう。

参考:

https://ageless.co.jp/media/1455

「スキ」ボタンを押していただいたり、SNSでシェアしていただけると、とてもうれしいです。