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部活動地域移行が「地域展開」へ名称変更?- 部活動地域移行を考える(3)

日本では、公立中学校の部活動改革が進行中です。そのなかで、これまで中学校・高校の教員が担ってきた部活動の指導を、地域のクラブ・団体などに移行する「部活動地域移行」が検討され、実証事業が2023年度から行われています。

この背景には、少子化や教員の働き方改革があります。少子化でチームが作れず、部活動ができない地域も増えてきています。それまで1つの学校で行っていた部活動が地域移行によって実施することが可能になり、子どもたちにとっては技術向上や活動種目の選択肢が広がる可能性があります。また教員にとっては業務負荷の軽減が期待されています。

公立中学校の部活動改革に関するスポーツ庁と文化庁の有識者会議の第2回会合が2024年12月10日開催され、中間報告案が発表されました。

部活動改革はこれまで、2023~25年度を「改革推進期間」と位置づけ、全国のモデル校が、休日を中心に部活動を地域に広げる実証事業に取り組んでいます。中間報告案では2026~31年度を「改革実行期間」とし、平日の地域クラブ化も推進する方向性が示されています。

また部活動を地域スポーツ団体などに委ねる「地域移行」について、学校と地域の二項対立の印象を与えかねないとの懸念があるため「地域展開」に名称変更する考えが示されました。地域全体で連携するというコンセプトをより的確に表す狙いがあるといいます。

専門家からは、名称変更が問題解決に直結しないとの批判もあります。部活動改革は教員の過重労働軽減を目的としていますが、地域移行だけで問題が解決するわけではないと指摘されています。また、受け皿となる地域クラブや指導者の不足、予算の確保が難航している現状が課題となっています。

部活動改革は、日本の教育現場の課題を反映した取り組みですが、地域移行や展開の成功には、より現実的で費用を伴う計画が求められています。指導者の確保や地域の連携強化が欠かせない中、すべての生徒が公平に活動を楽しむためのさらなる工夫が必要です。そしてなによりも、学校、自治体、教育委員会、地域団体、企業などが一体となって、課題解決に取り組み、将来を担う子どもたちのために部活動を残していくことが求められていると思います。

文化部活動の地域の受け皿となる「地域文化クラブ」の活動を応援するサイトをつくりました。

●地域文化クラブ応援サイト

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