私の50歳からの定年後の準備(その5:先輩に聞く)
定年後に起業するにあたって、先行して起業された先輩など、何人かにお会いして実際のところを伺いました。
インタビュー
-- どうして起業を決意したのですか?
役職定年になり、先輩達が、腑抜けになっている姿を見てあのようにはなりたくないと思い、また早期退職の優遇制度もあったので、退職を決意しました。
-- 営業活動はどうしていますか?
営業は紹介営業。知人などからの紹介で確保しています。自社サイトを作り、サイト広告も出しています。
クライアントは開業前にいくつか持っていた方が良いです。
-- 現在の仕事量はどのくらいですか?
数社と顧問契約をしています。週3日程度働いていて、残りは自分の趣味と、親の介護に当てています。
-- オフィスはどうしていますか?
オフィスは借りていません。家族も自宅にいて欲しいというので。
-- 社会保険はどうしましたか?
会社で入っています。前職の健康保険にOBとして入ることもできましたが、「協会けんぽ」に入りました。
--保険料はどのくらいですか?
厚生年金保険料、介護保険料と共に日本年金機構のサイトで公開されているので、そこから社会保険料は把握できます。
-- 会計はどうしていますか?
会計は公認会計士に任せています。領収書をためて会計士さんに渡しています。
会計士はネットで探しました。会計ソフトは必要です。会計士さんが使っている会計ソフトにすると良いです。
-- 銀行はどうしましたか?
都市銀行は口座が作りにくかったので地銀で開設しました。
(私の場合は、都市銀行はやはり時間がかかりましたが、口座は作れました。ネット銀行は迅速に口座を作れるので、2つの口座を開設して使っています)
--クレジットカードはどうしましたか?
コーポレートカードを作りました。会社の物を買うときはこれを使うと、会計上も便利です。
-- ホームページはどうしましたか?
WordPressで自分で作りました。紹介営業でもホームページは必須です。WordPressならいろいろなデザインも選べます。ただ、自分で更新しているので、なかなか進みません。
ある先輩からは、起業する会社のUSP(ユニーク・セリング・プロポジション)は何ですかと聞かれました。
私は、
①ファンをつくるマーケティング戦略の立案と、
②経験を活かしたマーケティング人材の育成です
と答えたら、「人材育成の講師なんていくらでもいるから差別化できないと無理だよ、時代は進化しているから古い経験は役に立たないよ」とガツンと言われて、少しへこみました。
シニア起業家ビジネスグランプリの井口敦さん
前回書いた横浜市の起業スクールで知り合った井口敦さんは、ニッケルハルパ、ハンマーダルシマーなど国内に千人ほどしか愛好者がいない、マイナーな民族弦楽器の修理や製作をする「ダルシクラフト」を創業しました。
そして神奈川県の「シニア起業家ビジネスグランプリ 2017」に応募し、奨励賞を獲得されました。
●【定年起業への挑戦】ニッチな楽器のメンテナンス業 1000人程のマーケットに対応、年金にプラスすれば稼ぎ十分/zakzak
https://www.zakzak.co.jp/eco/amp/170711/eco1707110003-a.html
起業スクールでは具体的で詳しく書かれた事業計画書を発表しました。素晴らしい計画書でした。その計画書どおり創業されたのです。
私は井口さんの事業計画書をいただいて参考にしました。井口さんの開業後に工房を訪問して、お話しをお聞きしました。
工房は住宅地の元スーパー跡地の家具工場の一角にありました。サーフボードのペインターとか木製食器の工房とかいくつかの工房が並んでいました。
井口さんは個人事業主で創業しています。お客さんは奥さまがハンマーダルシマーの演奏を30年来やっているので、そのつてで見つけているそうです。
日本に窓口のない民族弦楽器の海外メーカーの代理店の役割もしています。そのメーカーから修理依頼人を紹介してもらえるそうです。
井口さんは大手電機メーカーに入社し、ボストンに5年間駐在するなど活躍されましたが、54歳のときに早期退職制度で退社。スウェーデンの建機メーカーに移りました。そのメーカーを定年退職後、東京都の中小企業振興公社で中小企業の海外事業支援をしながら、専門学校のギタークラフト&リペア科に夜間通い、ギターの修理技術を2年間学びました。
起業準備に必要だったことをリストアップしたメモをいただきました。これはたいへん役に立ちました。このチェックリストもこのつづきで後ほど説明したいと思います。
時間をかけてしっかりと準備をして、趣味と実益をかねて創業した井口さんは尊敬します。
●ダルシクラフト
https://dulcicraft.com
起業する前には、悩んだり、不安になったりしましたが、先輩に教えを乞えば、悩みや不安は解消します。
(つづく)