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寄り添う

今日働いていて、人に寄り添う場面があった。

仲の良いお客さんがお店に入ってくるのが見えた。
急いで駆け寄って、名前を呼んだ。
パッと見て元気がないのは分かったし、なんならめちゃくちゃ痩せていたことも気付いた。
人が急激に痩せる理由なんて、良いことがあった時ではないことくらいわかるから出来れば触れないでおこう。その代わりにプライベートの心に寄り添った温かい接客をしようと思った。










「痩せたでしょ」
お客さんが言った。
私はすぐ頷いて、心配そうにしながらも出てきた言葉は「夏バテですか?」だったけど、そんな理由じゃなかった。

大切なご主人が亡くなったらしい。

接客でお客さんに触れる行為なんて普通はないとは思うけど、反射的にお客さんの背中に手を当てていた。











とにかく今は聞き手に回ること。目の前に立たずに横に並ぶこと。安心感のあるいつも通りな姿勢も忘れずに。

それを意識していた。

私お客様のこと大好きですから!
とか、
いつでも遊びに来てくださいね。
とか、
だけど会えて、お話できてよかった。
とか。

伝えたいことが伝えられてよかった。

「私もあなたのこと可愛いからすき」

なんて言ってもらえちゃった。
上手く寄り添えてたかは分からないけど、私が言った言葉たちはちゃんと心から思っていたんだよな。

伝えられていたら嬉しいな。












大切な人との死別。

それは私が今までに経験してきた失恋なんか、そんなもんなんかじゃないんだろう。
経験したことがない私はどれだけ辛いことなのか、想像すらできなくてもどかしいけれど、失恋の規模が少しだけ小さく思えた。

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