空き瓶
最近ランニングをしている。
家の近所を走っていたら、夜、男の人がゴミ捨て場に向かって歩いていた。
その直後、手に抱えていた大量の空き瓶たちが転げ落ちた。
ちょうどそこは短いけど下り坂になっていて、私が走るコースと地味に交わった。
ひとつだけ空き瓶が私のコースの目の前に転がってきたので、ひとつだけ拾って、その男の人の近くに置いて、私はまた走り出した。
他にもたくさん転がっていたのに、目立つひとつの空き瓶しか拾わなかったことを三歩走り出してもう後悔していた。
このまま引き返して拾おうか。
そんなことも思ったけどわざわざ恥ずかしくなってしまってできなかった。
行動しないくせに、心だけは良い人だった。
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