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「マッチングアプリの少女」

最近、最近、雪の降りしきる大晦日の夜。

「マッチ、マッチ…マッチしませんか?」

みすぼらしい身なりでマッチングアプリに勤しむ少女が、
寒さに震えながら一生懸命メッセージを飛ばしていました。

「マッチングしませんか?誰かマッチしてください。」
しかし、誰もマッチしてくれません。

外は雪がしんしんと降っており、少女の家の床は冷えています。
自分磨きとマッチングアプリの継続にお金をかけて、
暖房を入れるお金もありません。

誰もマッチしてくれないので、少女は息抜きにSNSの閲覧を始めます。
SNS上にアップされた写真はとてもキラキラしていました。

「なんて輝いているんだろう。こんなイルミネーションでデートがしたいなあ。」

それはクリスマスデートをしている若い2人の男女がアップした写真でした。少女は画面をスクロールし、次の画像を見ました。

「わあ、お子さんが産まれたんだ。可愛いなあ。」

それは学生時代の友人の赤ちゃんが映った写真でした。
少女は次の写真を見ようとしましたが、スマホの電源が切れてしまいました。

「あ、電源が切れちゃった…」
電池と共にやる気も失くした少女はスマホをその辺に放置し、
やけ酒を飲み、深い眠りにつきました。

………

「また、アンタは実家に顔も出さずに飲んだくれて…」
新年も3日も過ぎた朝、少女の家を訪ねた母親は呆れながら我が子の部屋の掃除を始めるのでした。

「…今年こそ…きっと…」

寝ぼけながら呟く少女の意識はぼんやりとしていますが、
心はまだまだ諦めていませんでした。

END

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