「コビットの靴屋」
最近、最近、腕のいい靴屋のおじいさんがいました。
店構えは小さいですが、業界での注目度は高く、お客さんがひっきりなしにやってきます。
しばらくして、コロナが流行り人々は外出を控えるようになりました。
靴屋はそのあおりを受けて、売り上げが大きく落ち込んでしまいました。
お客さんが来なくなっても、おじいさんは諦めずに靴を沢山作っていました。とある夜、新しい靴の試作を作りかけていたおじいさんはそろそろ寝ることにしました。
「続きは、明日にしよう。」
ところが、次の日の朝、その靴は出来上がっていました。
PC上でデザインを行っており、途中のまま誤ってWEB上にアップロードしてしまっていたので、ファンのアレンジによって各々の「俺の考える最高の靴」が作成されました。
「機械はあくまで補助で実物を売ることに拘っていたが、そろそろ変化の時かもしれない。」
ネット界隈での人気を受けて、おじいさんはアレンジのしやすい土台としての靴を、デザインしていきました。そのまま使うも良し、自分流のアレンジを加えるも良しです。
沢山のアバター達がおじいさんのデザインした靴でメタバース上を歩き回るようになり、おじいさんは経営を立て直しました。
特に、初期にデザインした靴はNFT化され、暗号資産で高額な取引をされるようになりました。
END