「かさじぞく」

最近、最近、手厚い福祉を受けて健康的な暮らしを送っている老夫婦がいました。もうすぐお正月なので、お餅を買おうとしておじいさんは街に出かけました。

おじいさんは趣味で傘をこさえているので、ついでにそれらを売って、
おばあさんに何かお餅以外にも土産を買って帰ることにしました。

おじいさんの傘は街ではとても評判で、良く売れました。
材質が統一されているので捨てる際に分別のストレスが無く、
そもそもが丈夫なのでとても長く使えることが出来る優れモノでした。

お餅とお土産を買ったおじいさんはそれらをマイバッグに詰めて、
家に向かいました。その道中に5体のお地蔵様を見かけました。
雪が積もり随分と寒そうでした。

お地蔵様の雪を払ったおじいさんは、
雪をしのげるように土産用のアウターを過不足無く掛けてあげました。
これらは自然由来なので風で飛ばされたとしても、きちんと土に還るので安心です。

家に帰ってそのことをおばあさんに話すと、おばあさんはとても良いことをしたと、おじいさんを讃えました。

その日の夜、家の外が何やら騒がしい様子でした。
おじいさんとおばあさんが戸を開けてみると、そこには沢山のお米、魚、野菜がありました。それらは、お地蔵様からのお礼でした。

2人で食べきれる量ではなかったので、親戚や近所の人達にも分け与え、
食品ロスの無い形でありがたく頂きました。

2人はその後も、幸せにいつまでも持続可能な社会の中で暮らしました。

END