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恋人ができたんだ


『話が変わりますけど、好きです』

と告白してくれた。
何回会っても指一本触れてこないから、てっきり何でもないと思っていた。

彼の告白の瞬間、目を閉じていたのを後から後悔した。

『前にコーヒーと散歩が好きな人が好きと言ってましたが、僕はどちらも好きです』


私は、驚いて笑ってしまった。 
何もいわずに黙っていたら、『どんなところを好きになったか聞かないんですか?』と聞かれた。


彼に大切にされるたびに、
あの人に大切にされてみたかったと思う私は、
苦しい自分に酔っているんだと思う。


好きなタイプを聞かれるたびに、あの人の特徴ばかりを話していた。


あの人の好きな人になりたいとがむしゃらに走ってたら簡単に月日が流れた。

あの人が弾いていたギター、
今は彼にコードを教えてもらってる。

私が主旋律を歌うと、彼は低音を流れるようにはもってくれた。

私ばかりが『さくっとコーヒー飲みに行かない?』と当時誘っていたのに、

彼は目覚めた朝もコーヒーを淹れてくれる。


『眠れないので散歩に行きませんか。』
そんな誘いをしてくれるたびに、
『私は今日も眠れそうです』と答えていた。

あの人を知らなかったら、彼のことも好きになってなかったと思う。


私は、告白にありがとうも私もだよも何も言わずに家に行こうと誘って、『そういう気分になってしまった』と言って、彼を誘導した。

何にも知らないふりをして、何にも染まってないふりをして手のやり場に困ったふりをした。

夜の間中、好きと言われ続けたのは初めてだった。


そんなに好きだと言われると泣いてしまいそうだった。

身体を渡せば、満足するだろうと思っていた。


朝、目が覚めてまた温かいコーヒーを淹れてくれた。


『次いつ会えますか。付き合ってください。』



ねえ、私の思いにいつまでも気づかないで欲しい。


君の調子はどう
君の調子はどうだい






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ちさき
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