何故、「上司は思いつきで、ものを言う」のか?

「上司は思いつきで、ものを言う」は、橋本治さんの新書です。小生は、思いつきで言ってるんじゃないか?という上司がいて(今から、15年くらい前の話です)、これは、そんな愚痴を共有してくれる本なのかなと思っていました。これは、何故、「上司がおもいつきで、ものを言うのか?」という本でした。ビジネス本でもあります。橋本治さんは、読んでみたくなるような本のタイトルをつける天才だと思います。彼は、作家です。作家というのは、個人事業主です。会社に所属して、毎月決まった給与が振り込まれるサラリーマンではありません。そんな組織を知らない彼が、ビジネスの本を書けるのか?書けるのです(と本に書いてありました)。彼は、ただ、本を書いている作家ではなく、出版社に作品や、企画を持ち込みます。いわば、出入りの業者です。出入りの業者は、出版社のひとたちと仲良くなります。そして、会社の人間関係にも詳しくなります。会社とは、組織です、なので、組織に関するビジネスの本が書けるのです。小生は、おもいつきでモノを言う、上司、さらに、その思いつきを言われるがまま、実行する直属の上司、こいつらバカなんじゃないの?と思ってました。間違いでした。彼らは、とても頭がいいのです。組織の中で生き抜く頭があるのです。バカっぽくみえても、組織で生き抜く知恵を持っているのです。なにかの、プロジェクトが発足したとしましょう。過去のプロジェクトを振り返ります。振り返るということは、過去のプロジェクトを批判することになります。この会社に入社したての新人が、そもそも、この過去のプロジェクトってと、無邪気に批判したとします。しかし、そのプロジェクトが、今の経営陣が若い時に旗を振っていたプロジェクトだとしましょう。若い、右も左もわからないひよっこの新人は、知らず知らずに経営陣を批判してしまったワケです。会社のいうことは、絶対、というのが、大概の組織です。それを批判するのは、ご法度なのです。組織で生きていけないくらい。その時、上司は、思いつきをいうのです。こら、経営陣を批判するんじゃない、空気読めよと、思つきをいうのです。彼は、組織を泳ぐクレバーな存在なのです。そんな組織は、クソくらえって?そうかもしれませんが、それが現実で、橋本治さんは、その現実を教えてくれるのです。なので、「上司は思いつきでものをいう」というのは、ビジネス書で、組織論なのです。そんな15年も前のサラリーマンだった頃を、何故か、思い出しました。

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