相続アドバイザー3級 項目16.融資と相続
<共同相続の場合>
・金銭債務は、共同相続人の各法定相続分に応じて分割承継される
よって、金銭債権の債権者は、債務者の各相続人に対して、それぞれが
承継した債務の範囲でしか請求ができない
<連帯債務の相続>
・連帯債務者のひとりが死亡し、その相続人が複数いる場合、相続人らは
各自その相続分に応じて分割承継し、その承継した範囲内で他の債務者と
連帯債務者となる
(具体例)
債権者「甲銀行」に対して、1000万円の連帯債務を負っているXとYが
いて、Xが死亡し相続人としてAとBがいる場合
相続人AとBは各自が500万円の債務を分割承継したうえで、債権者
「甲銀行」に対してAとBそれぞれが「500万円について」、Yと連帯
して弁済する責任を負うことになる
<個人向け融資の種類と対応>
1. 証書貸し付け
→ 約定の弁済期が到来すると、相続人に弁済義務が生じる
2. 手形貸し付け
→ 約束手形の満期日が到来すると、相続人に弁済義務が生じる
3. カードローン
→ 相続人は、債務者の死亡時に「即時弁済義務」を負う
4. 総合口座貸し越し
→ 相続人は、債務者の死亡時に「即時弁済義務」を負う
<その他>
・相続された貸し付け債権と相続預金が「相殺適状」にある場合は、
相続人の意思とは関係なく金融機関は相殺することができる
・相続人が複数いる場合に、「遺言」によって法定相続分とは異なる割合の
相続分の指定があったとしても、金融機関はこれに拘束されない
・手形割引取引先に相続があった場合、割引手形について不渡り事故が
生じていない時点では、相続人は手形割引に関して何らの債務も
相続しない(支払うべき債務は発生していない)
・相続人が限定承認をした場合であっても主債務の一部が消滅するわけ
ではないので、連帯保証人の保証債務は限定承認後も主債務の全額に
ついて責任を負う。
よって、金融機関の保証債務履行請求権が一定の限度に制限される
ことはない
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