[テオリアの前に(20)]名詞を中心に考える
前回、品詞と文型の関係を見たときに、名詞は文型の中で圧倒的に用いられる品詞であることがわかりました。もう一度その表を下に出しておきますので確認してください。
名詞は単独で用いられるのではなく、形容詞によって修飾されたり、関係代名詞の先行詞になります。『基礎英文のテオリア』では次のような表でまとめました。
この表を少し丁寧に解説していきます。
まずは、watchという名詞から始めましょう。「腕時計」というモノを表す名詞で、数えることができますね。そうするとa watchが「ある一つの腕時計」という意味になりますね。ここからスタートします。
(1) a watch
冠詞+名詞で「ある一つの腕時計」
(2) his watch
代名詞の所有格+名詞で「彼の腕時計」
★彼の1つの時計と言うときには不定冠詞のaを付ける必要はありません。所有代名詞と不定冠詞は一緒に出てきません。
(3) my old watch
代名詞の所有格+形容詞+名詞で「私の古い腕時計」
★どのような腕時計かを説明するのが形容詞です。
(4) two watches
数詞+名詞の複数形で「2本の腕時計」
(5) his two watches
代名詞の所有格+数詞+名詞の複数形で「彼の2本の腕時計」
(6) my two old watches
代名詞の所有格+数詞+形容詞+名詞で「私の2本の古い腕時計」
(7) my two very old watches
代名詞の所有格+数詞+副詞+形容詞+名詞で「私の2本のとても古い腕時計」
これが【冠詞・限定詞+副詞+形容詞+名詞】という名詞句のパターンです。
限定詞とは一般になじみがない文法用語ですが、代名詞や数詞などです。
見てわかるように、名詞の直前には形容詞、形容詞の前には副詞、副詞の前には限定詞が出てきます。
ですが、もう少し単純化してみると次のようなパターンになります。
○ 冠詞+名詞(複数形の場合もある) 例: the books
○ 冠詞+形容詞+名詞 ★ the interesting books
○ 冠詞+副詞+形容詞+名詞 ★the very interesting books
複数形の時は不定冠詞のa/anが使えないのでtheを使うか、代名詞の所有格を使う
○代名詞・数詞+名詞の複数形
○代名詞・数詞+形容詞+名詞の複数形
○代名詞・数詞+副詞+形容詞+名詞の複数形
そしてあと2つ覚えておくことがあります。
(1) 現在分詞(動詞のing形)は形容詞としての役割がある
(2)過去分詞は形容詞としての役割がある
形容詞と言えばoldとかyoungなどを思い浮かべますが、動詞のing形や過去分詞形も形容詞と同じようなはたらきをすることがあります。
the interesting booksという例を見てください。動詞interestにing形を付けて現在分詞という形にしています。【the 動詞のing形 名詞】という語順です。名詞の直前に形容詞を入れる約束がありましたので、この動詞のing形は形容詞の役割を持っているのです。
the falling leavesは「木の葉」の意味を持つleafの複数形のleavesです。また、fallingは「落ちる」を表すfallという動詞のing形です。【the 動詞のing形 名詞】ということで、これは「舞い落ちている葉っぱ」という意味になります。ひらひらと木の枝から葉っぱが離れて落ちています。
interesting booksとfalling leavesでちょっとした違いに気づきましたか?fallingは「落ちている」と訳しました。「進行形」のような訳し方ですよね。一方、interestingには「〜している」という意味はなく「興味深い」と完全に形容詞のようになっています。interestingのように動詞の意味よりもむしろ形容詞の意味が強いものがあり、辞書にも「形容詞」として記載されています。現在分詞から派生した形容詞なのです。そして「〜している」という意味になる現在分詞、むしろこちらの方の意味の取り方をする場合が多くあります。
過去分詞の例を見てみましょう。
two broken windows
the fallen leaves
この2つの例は、「2枚の割られた窓」と「落ちてしまった葉→落ち葉」という意味です。
誰かが窓を割ってしまい、それが2枚あるということがわかります。過去分詞は
「〜された名詞」という意味で捉えることができます。
もとはSomeone broke two windowsという文(brokeが動詞でwindowsが目的語)の受け身形、two windows were brokenが下敷きになっていると考えましょう。two broken windowsではbrokeとwindowの間に動詞と目的語の関係があれば「〜された名詞」の意味になります。
そしてthe fallen leavesは「誰かが木を揺さぶって葉っぱを落とした」と言うことはあまり考えられません。fallという動詞ですがSVOのような目的語を取ることができない動詞なのです。このように動詞と目的語の関係で捉えることができない場合は、「〜してしまった名詞」というように「完了」の意味で捉えます。詳しく知りたい方のために補足です。このthe fallen leavesのfallは自動詞で、受け身形を作ることができません。自動詞の過去分詞が名詞を修飾するときにはthe leaves have fallenという現在完了形で(〜してしまった)という完了を表すと考えます。
正確にはthe leaves which has fallenと同じ意味になると考えるのです。名詞を後ろから関係代名詞が形容詞節として修飾するというパターンですが、それは次回見ていきましょう。
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