Sakiの"The Open Window"(1911)を読んでみる。(その2)
サキはオー・ヘンリーと並ぶ短編小説の書き手として知られています。とにかく短いのですが、それにも関わらずストーリーの展開が秀逸で、今回あつかう"The Open Window"はサキの短編として一番有名なものだと言ってもよいかもしれません。
続きを読んでいくことにしましょう。
では1文だけですが、読んでいきましょう。
Privately he doubted more than ever whether these formal visits on a succession of total strangers would do much towards helping the nerve cure which he was supposed to be undergoing.
語句の確認
privately(副詞)だれもいない所で[時に]・[文修飾]心の奥では、 密かに、 個人的には
doubt (他動詞)SVO O〈物・事〉を疑問に思う
SV that s v〜 〜でないと思う
SV whether [if] s v〜 〜かどうか疑問に思う
succession(名詞)連続して起こる物事
〈a ~ of +複数名詞〉〜の連続、〜が続くこと
towards(前置詞)〜の方へ
be supposed to do 〜することになっている、〜するはずである
否定文では「〜してはいけない」
undergo 〈人・物が〉O〈変化・検査・治療など〉を受ける
文の先頭にPrivatelyという副詞が来ています。文頭の副詞は「文副詞」「文修飾の副詞」になることが多くあります。辞書で、privatelyを確認すると「文修飾」の用法がありますね。ここでは「心の奥では」とか「内心」という意味で捉えましょう。
he doubtedと読んだら、うしろに「目的語」もしくはthat節、whether (if)節が来ると予測してください。こうしたコロケーションのようなまとまった表現は頭に入れておくと、スムーズに英文を読むことができるようになると思います。
more than ever(これまで以上に)は副詞句ですので、カッコにくくると、whether節が出てきたので「彼はこれまで以上に〜かどうかを疑った」という意味だということがわかります。
次にwhether節の中を見ていきましょう。接続詞の後ろには必ず〈sv〉があることを確認します。these formal visitsを見て、visitsが動詞と思わないようにしましょう。仮に動詞だとしたら主語は3人称単数でなければなりませんがtheseから始まっているため「複数」が前提となります。そしてformalは形容詞なので、後ろに名詞が必要です。these formal visitsで「こうした形式的な訪問」という意味ですね。
どこへの「訪問」かというとon以下で示されます。 a succession of total strangersの a succession of+複数名詞は「〜の連続、〜が続くこと」という意味になるので、「続けざまに全く知らない人へのこうした形式的な訪問」となります。ここまでがwhether節内の主語ですね。
ここでも、successionという単語だけを覚えておくのではなく、a succession of+複数名詞ということを頭に入れておくと英文を読む速度が上がっていきます。
次が動詞でwould doになっていますが、この意味分かりますか?
would do much towards helping the nerve cure which he was supposed to be undergoing.
do much towards -ingで「Sが〜するのに大いに役に立つ」や「Sは〜することに大いに尽力する」という意味でよく出てくる表現です。
ですので、 helping the nerve cure(神経症の治療)という部分がわかれば「神経症の治療に十分に役に立つだろう」という意味ですね。wouldになっているのはdoubt whetherとの相性がいいからですね。
which he was supposed to be undergoingは関係代名詞のwhichでthe nerve cureを元の目的語の位置にいれhe was supposed to be undergoing the nerve cureと考えればわかりますよね。「彼は神経症の治療を行うことになっていた」という意味になります。
ということで、今回は「コロケーション」を意識することが、英文を読みやすくするということを示してみました。
ちなみに、今回の英文は「続けざまに全く知らない人に形式ばった訪問をすることが自分の受けているはずの神経の治療の助けになるのだろうか、と彼は内心、今まで以上に疑っているのである」というような主旨の意味になりますね。
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