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『英語長文のテオリア』(Z会)の学習の仕方

『英語長文のテオリア』はSteven PinkerやJ. K. Rowlingといった英語母語話者だけではなく、世界中で読まれているテクストを題材に、読解力を向上させることができる、「ちょっと難しめ」の学習書です。

「ちょっと難しい」というのはどんな感じかというと、次の文を見てください。

構文や修飾関係に注意して日本語に直しましょう。

And it is clear that this second dimension of the problem, which does not coincide with the first but in large measure conditions it, can be investigated historically by examining the memoirs and the archeological finds constituting the traces that every past society has left behind.

『英語長文のテオリア』162ページ

この英文を理解するには次のポイントを押さえていなければなりません。
① 形式主語
②関係代名詞
③相関接続詞
④主節の主語と動詞を見抜くだけではなく従属節内の主語と動詞を見抜く
⑤現在分詞の形容詞的用法

つまり、たった1つの文を理解するためには、少なくとも上にあげた5つのポイントを押さえていなければなりません。

ということで、1つ1つの文が濃密で、じっくり理解をしようとしたときに、相当な時間がかかってしまうという場合もあります。そうすると、「もう、難しすぎて自分には合っていない」と嘆いて、テキストを閉じてしまうかもしれません。それはもったいない。自分がわからなかったところがわかるようになる、読めなかった文が読めるようになるチャンスを逃してしまうのです。

そこで、『英語長文のテオリア』がちょっと難しいなぁと感じた方には、次のような学習方法をおすすめします。名付けて「ゆっくり、じっくりテオリア」

「ゆっくり、じっくりテオリア」の基本方針は1回の学習に1つの段落(もしくは1つの文)だけでやめておくということです。解説のページを見てもらえればわかりますが、読解の解説は「見開き」で完結します。

Step 1 ポジティブに考えよう(解説を熟読しよう)


第1章の英文を読んだ瞬間に挫折しそうだと思ったら「この英文を読めるようになれば、ちょっとは力が付くかも」とポジティブに考えてください
毎回の学習は1パラグラフだけでいいので、最初は英文を1文読んだところで、すぐに日本語訳を1度だけ目を通してみましょう。その後「どうしたらこの日本語になるの?」ということを辞書を調べたりしながら考えてみてください。でもここでわからなくても大丈夫です。解説を熟読して、自分でノートに書き写したり、声に出したりして考えながら、理解しながら一つ一つ確認してください。「なるほど」となったところで、今読んでいる1文をノートに書き写してみましょう。

Step 2 ノートに書き写した英文を自分で考えて見よう


もう一度まっさらな英文を見て、意味を考えて、そして考えた日本語を実際にノートに書いてみましょう。そして日本語訳と比較し、再度解説を読んで自分の読みを確認してください。そうするとたった1文ですが、完璧に理解することができるはずです。

Step 3 音声を活用すると「意味が立ち上がってくる」


それができたら、次の文に進んでもよいのですが、せっかく音声ファイルがあるので活用してみましょう。音声ファイルで意味がわかった英文を何度も繰り返し聞き、頭の中で意味を考えてください。同じ文を何度も聞いているうちに、意味が頭の中で「立ち上がってきます」。少しでも疑問点が生じたらテキストに戻って解説を確認しましょう。余力があれば、音読をしたり、ディクテーションをしたりしてたった1文を様々な角度から攻めてみましょう。

Step 4 あわてない あせらない ゆっくり、じっくりテオリア


えー、1文にこんなに時間をかけていたら絶対終わらないよ〜。と言う人もいるかもしれません。大丈夫、千里の道も一歩からです。ゆっくり、じっくりやってみましょう。気づいたら「あれ、意外と読めるぞ」という感覚を得られるはずです。応援しております。

もし、『英語長文のテオリア』が厳しかったら『英文解釈のテオリア』を適宜参照したり、「総合英語」と言われている文法の本を見たり、辞書を丁寧に読み込んでみてください。こうしている間もじっくりとみなさんの実力はついてきます。

大切なことは、途中で投げ出さないということです。最後まで大変だけれどやってみましょう。

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