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彼方との心棲
OUTLINE
祈りを捧げる天への隧道
愛する故人を尊く想い、祈念するための心の棲をつくるプロジェクト。この建築は、この世界のうつろいを故人への祈りと重ね合わせ、祈りを捧げる天への隧道(現世と冥界を結ぶ聖域)である。
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CONCEPT
あの世とこの世を往来する心の棲
我々は、愛する故人を尊く想い、祈念するための小さな心の棲を提案した。それは、大海原のうつろいを故人への祈りと重ね合わせ、天へむけて語らうための隧道(現世と冥界を結ぶ聖域)である。この建築は、海風にかき消されない、波にのまれない、わずかに残る「ふたりだけの海」の記憶を、この世界につむぐ。
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SITE
宮城県雄勝湾に面した渚
敷地は、宮城県雄勝湾の海岸線に自生する松林の深い森と心地よく波打つ海域の境界に位置する。2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震に伴う津波で壊滅的な被害を受けた場所である。現在周辺の沿岸には、人間と自然の分断を象徴する防潮堤が海への崇拝を遠ざけるように天高く立ち上がっている。
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ARCHITECTURE DESIGN
美しくも儚い雄勝湾の情景に、亡き人への祈りを重ね合わせる
敷地は美しい海景の只中にあり、浜辺には雄勝石が幾重にも連なっている。そこで建物は地表の起伏をそのままに、真直の細長い囲いを岩場にのせる構成とした。足元の岩は海に向かって拍子よい段差で積分し、故人に逢いに降りてゆく感覚や祈りの前傾姿勢をそっと支える。板張りの囲いは水平線の消失点に伸び、海へ意識を集中させる配慮を為す。木目地の水平ラインは、潮汐の動きを儚くも愛おしく見せ、現世で祈る者へ生々流転の事実を伝える。隧道を駆け抜ける海風、潮の香り、海鳥の鳴声、陽光や月光を含んだ水光、さざ波の音色たちはみな、故人からのメッセージのように語らい、今この世界を生きるぼくの心をそっと包みこむ。
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SUPPLICATION
「あなたと私の海の記憶」を未来につむぐ
この建築は、海風にかき消されない、波にのまれない、わずかに残る「あなたと私の海」の記憶を、この世界につむぐ役割を果たすだろう。
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Proposal : Competition
Category : Architecture design
Principal use : Chapel
Status : Unbuild