見出し画像

仕事でズレてる人

「本日は、誠におめでとうございます。ブーケのお届けに上がりました。」
担当している施設で、一日に何度もヘアメイク室の新郎新婦にご挨拶しています。
週末のウエディングブーケのお届けを担当することが多いのです。
今 お手伝いしているブライダルのお花の現場仕事は、大きく分けると披露宴会場の装花設営とブーケ納品です。
特殊なもの以外は、前日までに制作を済ませて、当日は限られた時間内にミスなく納め、時間通りに撤収し、数十分後の次の開宴までに会場装花を変える…
会場装花の方をやりたいのですが…私は、どこへ行っても やりたいことと任されることが違います。

仕事というのは、やりたいことより人から求められることを一生懸命やった方が良いと考えています。

ブーケのお届けは、ただ届ければ良いというものではありません。
ブーケそのものの品質チェックができて、不具合があるならば瞬時に直せる技術や経験が必要。
ヘアメイクのお支度が始まったばかりの緊張気味な新婦さんの気持ちをほぐす役目もあると考えます。

ブーケを見た新婦さんは「イメージ通りです!」と笑顔で喜んでくださったり、「綺麗!お花を見て(挙式の)実感が湧いて来ました」と言って感激したり。
そうかと思えば、「どんなのを頼んだか忘れてました、これなんですね」 とか、無反応なので こちらから「お色味など よろしいでしょうか?」とお尋ねしたり。

この時、ヘアメイクさん達のリアクションもとても大事で「わぁ〜きれい」とか「素敵」とか盛り上げてくださる方だと 新婦さんも安心できて表情も柔らかくなります。

一方、品質的な問題がある訳でもないのに「本当に大丈夫ですか?色変えてもらいます?」とか、不安にさせて迷わせてしまうヘアメイクさんだと…花材手配など何週間も前から準備しているブーケなので 急に変えることは不可能ですから迷惑です。
お客様のことを本当に想うなら、晴れの日を気分良く安心して過ごせるようにプロとして振る舞ってほしいところです。
たまに、お客様への気遣いがズレている方がいらして困ります。

昨年の話ですが、挙式中の新婦さんのウエディングドレスに花粉が付いて汚れたとチャペルへ緊急呼び出しがあり、テープを持って向かいました。花の花粉が布に付いた場合、擦ってしまうと落ちなくなりますのでテープで貼り付けて取ります。(基本的にブーケ制作者は花粉を取り除いて作っています。その時も花粉かな?化粧品の粉かも…でした)
私と受注担当者、衣装さんと介添さん、宴会マネージャーとヘアメイクさんと、大集合。
その場での“困ったちゃん”は、ヘアメイクさんではなく 衣装のスタッフさんでして…
数十秒でミリ単位の粉を取り除き、ホッとした新婦さんをフラワーシャワーの場面へ送り出した後に 衣装さんが、胸元の内側がもっと広範囲に汚れていたと言い出すのです。
実際、ファンデーションがドレスの内側(新婦自身もゲストの方々からも見えない部分)に付いていましたが、ここで言うことではないです。
進行上、この後 披露宴会場へ入場し、お色直しでドレス替えをします。
取り除けたと思っていたのに、更にファンデーションで汚れていると聞かされ、またテープでペタペタされて完全に汚れが落ちないドレスのまま披露宴へと向かわせるのは、せっかくの晴れの舞台で気持ちが曇ります。
新婦さんをそんな気持ちにさせてはならないのです。

正直さというのは、“善”ではありますが、この場合どうなんでしょう?
衣装のスタッフさん自身は、皆が見逃した汚れを自分だけは見つけた!と思っているかもしれませんが、その場にいた介添さんも私達も「分かってないなー」と感じていました。

ブーケにサムシングブルーとして使われることが多い『ブルースター(オキシペタラム)』

多くのスタッフが関わる現場でもあるので、それぞれの仕事に対する優先項目の違いから生じるトラブルもありますが、人生の中での大きなイベントに関わるお仕事ですから、毎週 ハッピーな気持ちにさせてもらえて楽しいです。

新郎新婦が主役で とびきりのハッピーな時間にして差し上げるお手伝いをしている自覚が大切だと考えています。

いいなと思ったら応援しよう!