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ストックの花

『早春 房総 花摘み』と言えば、ストック、ポピー、キンセンカがメインです。
千葉県は 全国1位のストック生産地です。館山市 南房総市 鴨川市 いすみ市 君津市が 主な産地。

ストックは、昔から 仏壇の花として定番で、あまりにも身近な花過ぎて、注目したことがありませんでした。
でも、調べれば調べるほど 興味深い花だったのです。

そのきっかけは 立春の数日前、スピリチュアルなことにも詳しい友人から、「ストックの花を飾るといいと聞いたから 普段 花を飾らないのに自宅に飾った」と報告がありました。
「へぇ〜、なんでストック!? 」と思ったのですが、香りが重要とのこと。
そういえば、ストックの香りが好きという方は 意外といるという印象(私の想定以上ということ)です。
「オイゲノール」成分が50%近く含まれ クローブに似た甘くスパイシーな香り。オイゲノールには、抗菌作用・抗ウイルス作用・鎮痛作用・防虫作用などがあるとのこと…「なるほど だから、今 飾るといいのですね!スピリチュアルじゃなく科学的根拠」と思いました。

私は、千葉県在住なので栽培が盛んな理由が気になりました。
ストックは、地中海原産のアブラナ科。雨の多い日本では栽培に適さないのですが、1950年頃から品種改良に挑戦し続ける 館山市のストック育種家・黒川さん親子の存在が大きいと言われています。
国内で栽培されるストックの種の8割くらいは この黒川さんの種。これは凄いことです。

流通しているストックの花は、切花も園芸苗も八重咲が主流ですが、その八重咲きの花には種が付かないそうです。衝撃的です、植物の不思議です。
種は、一重咲きのものから採る、そして 同じ1本から採れた種を蒔いても55%八重咲で、45%一重咲き。
黒川さんは、発芽して3週間の間に八重と一重を判別して 八重咲分を出荷、一重は種を採る用に育てて、また種を採る。この「八重鑑別」の精度は職人技のようです。

写真の花は、八重咲のスプレー咲きタイプの「カルテットピンク」ですが、1本に4〜8枝くらい花房が付いてボリューム的に「お得」なストック。
写真は5本で こんなに華やか!
このカルテットシリーズも黒川さん作(1993年)で、世界的に人気品種です。
国内のストック需要は増えていませんが 花持ちも良く華やかな花は、海外需要が高まっているとのこと。
しかも 一年中、採花可能なコロンビアでは 4作(一年に4回採花)ということですから 同じ作付け面積だとしても4倍の種が売れる!という訳ですね。

千葉県には 沢山のお花の生産者さんがいらっしゃいますが、私がご縁のある南房総には、素晴らしい育種家さん 研究熱心な生産者さんがおいでです。
その中でも、黒川さんは日本が世界に誇るストックの育種家さんです。
黒川さんがいらっしゃるから 千葉県で栽培される生産者さんが多いのでしょう。

カルテットピンク 蕾も咲くので 長く楽しめます

個人的には、野の花のイメージも感じられる一重咲きストックも好きですが、是非、世界的に人気な 1本でも華やかなカルテットシリーズを お家に飾ってみてほしいです。
写真の色以外にも白色、淡い黄色、淡いピンク、アプリコット色、紫色など 花色も豊富です。チューリップやラナンキュラスなどの春のお花と合わせやすいと思います。

花瓶に飾る場合、ストックは 茎が硬めで扱いやすい花ですが、水を2、3日で取り替えて 切り口を切り戻していただけると 蕾も全部咲いて長持ちします。

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