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花の仕事に必要なのは

2、3ヶ月に一度程度、花卉業界で働きたい人に向けて、仕事内容をお話しする機会があります。
参加者さん達は、アレンジメントや花束などの商品制作技術の重要性を強く意識している方々が多く、実際に採用側も技術力のある「経験者優遇」の意向が強いと感じます。

しかし、長いこと 花の仕事の現場に関わっていると…そうじゃない気がします。
商品制作に必要なレベルの制作技術は、誰でも慣れれば出来るようになるのです。
そう、誰でも。
新卒男子でバラとカーネーションのようなスタンダード花材の見分けのつかない人でも 数週間で「商品」を制作出来るようになるからです。

そうなると、必要な能力の優先順位というのは技術力がトップではないと (現場のお手伝いをしている最近の)私は思っています。

では、何が必要か?
偏見だとは思いますが…と一応前置きしつつ

花の現場は『お花が好き』で働いている人がほとんど。豊かな感性を持つ一方、理論的に物事を捉えることが苦手な人が多い(私自身も含め)です。

工作でも料理でも何かを作る際に、材料が違っていたら 出来上がらなかったり別モノが出来上がったりしますよね。
見本と同じモノを「求められる商品」と 季節や生産者によって「個体差が激しい花材」との問題に対峙しながら、日々の仕事量も異なり、イレギュラー対応の連続です。
イライラの感情を一日中ぶち撒けて過ごすスタッフもいて 鈍感力が無いと一緒に働く方のメンタルがやられます。

クオリティへの強いこだわりは良いことだと思いますが、周りへの配慮が欠けていては単なる厄介者です。チームで仕事をする上で 生産性を下げる原因でしかありません。
不思議と、どの現場にもこういう厄介者がいて 感情的で曖昧な指示を連発し幅を利かせています。

そして、花の仕事の職場には 細やかな気配りのできる忖度力の高い人も多いです。
植物へ優しい眼差しを向ける繊細な心を持つ人だからでしょうか。
エスパー的能力を発揮し、先を読み、手際よく作業を進める人達です。
この方々のお陰で、現場が何とか回っているのです…が、この優しさを持つ人の存在が、先の厄介者をのさばらせている理由にもなっています。


クライアントの想いや要望を汲み取る力、季節や生産地ごとの花材の情報収集や制作技術を磨く努力を継続する力、チームで仕事する中での作業の段取りの組み方や正しい業務遂行に必要な工程を仲間へ伝える力…様々な能力が必要です。

そんな中で最も重要な力は、『自分の機嫌を自分で整えられること』かなと思います。(そんなの、花屋じゃなくても大事だけど)

厄介者も、本人は自分だけが頑張っていて誰も分かってくれないと思い込んでいるから常に機嫌が悪い。感情的言動が多く、横柄な振る舞いによって現場をコントロールしがち。
気配りの出来すぎる人は、気遣いする相手を誤って厄介者を特別扱いしてしまい、その結果 萎縮し傷付き、自分の高い能力を肯定出来ずに能力の出力を下げている。

勝手に暴れている方も勝手に落ち込んでいる方も、自分の機嫌を自分で整えられたら 本来の持っている能力を発揮して仕事のクオリティに集中できるのですが、どちらも大事にすべきことを見誤っています。

でも、組織をまとめる側ではない お手伝いの身では、落ち込んでいる方々の自己肯定感を高めるための声掛けくらいしかできません。目の前の仕事を笑顔で楽しそうに進めながら…(花の作業は楽しいですよ!)

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