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月の光に煌めく双子池の美しさを一生忘れない | 北八ヶ岳②
蓼科山から一気に大河原峠へと下り、双子山を登って宿泊先の双子池ヒュッテに着いた。
双子池は雄池と雌池があって、その間に双子池ヒュッテが建っている。
雌池のほとりにはテントサイトがある。
私にとって思い出の場所だ。
もう30年以上も前のことになる。
秋も深まってきた頃、北横岳からのルートを歩き双子池でテント泊した。
一人で少し心細かったことや、テントのなかから手を伸ばせば、水面に手が届くんじゃないかというくらい水際に近かったことを思い出す。
その場所は、今も変わらずにあった。
これまで何人もの人がここにテントを張ってきたんだろうな。
なんか不思議な感覚だった。
そして、やっぱり本当の自分はここにいると思った。
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小屋の前には双子池(雄池)
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水辺の近くにテントが張られている
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今回は、双子池ヒュッテに泊まった。
とても細やかな対応に、オーナーの方のお人柄が感じられる素敵な山小屋だ。
室内にはモンベルの色違いのテントが並んでいて、一人一張、なかに布団を敷いて寝る。
自分の空間が保てること、テント泊の気分も味わえることが嬉しい。
クリーニングされたシーツと枕カバーが提供されているのもとても有難い。
山小屋で用意するのは大変な事だと思うけれど、そのおかげで気持ちよく眠ることができた。
夜。
歯磨きをしようと小屋の外に出てみると、月の光が雄池の水面に映りキラキラと煌めいていた。
こんな静かな森の中で空を見上げるのはいつ以来だろう。
小屋の前のベンチに座りしばらく佇む。
月や雲の位置で水面の煌めきの形が変わっていく。
その美しさに泣きそうになった。
この光景を一生忘れることはないだろう。
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山小屋が八時半で消灯になり、みんな寝静まった頃…。
「キュイーーン」という動物の鳴き声で目が覚めた。そしてそれに呼応するように低い短い鳴き声が続く。
鹿だろうか。
森の中に響き渡る鳴き声に、なんだか安堵感を感じた。今は君たちだけの時間なんだね。
うつらうつらしながら、これ夢じゃないよね…と再び眠りについた。