御殿場線 山北駅前商店街のお肉屋さんのメンチカツ
山北駅の商店街にお気に入りのお肉屋さんがある。大野山や高松山に登った帰りによく立ち寄っている。
下山して山北駅に向かっている時間帯には、いつも防災無線から鉄道唱歌が流れてくる。午後三時の合図だ。その頃には、お肉屋さんのショーケースの揚げ物はもう売切れて残ってない。
「メンチカツってありますかー?」とお店の方に聞くと
「すぐ揚げますよー!」と言ってくれる。
そして揚げてくれるのを待っている時間がなんとも楽しい。
ご近所の方が歩きだったり車だったり、入れ替わりやってきて、お肉やお惣菜などを買っていく。
「はい、鈴木さん」
「ゆう子さん、お待たせ~!」
みたいにお客さんのことを名前で呼んでいる。私みたいなよそ者のハイカーでも、居心地がいいというか、なんかとってもお店の雰囲気がいいのだ。
2kg以上(いや、もっとかも)はあるんじゃないのっていうお肉を買っていったり(お孫さんたちとバーベキューするらしい)
お店の人が「お仕え物にするの? 包装する?」なんて聞いてたり
(お肉をあげたりするのか)
オシャレなバイクでちょっと遠くからやってきた(と思われる)男性が串カツ揚げてもらってたり
(これから帰ってお酒のおつまみにするのかしら。明日は日曜だものね)
なんて、心のなかで勝手に呟いている。
時折、山の方を眺めたり
商店街の街並みに目をやったり
御殿場線が東海道線だった頃の賑わいが感じられる商店街。今は空き店舗となっている所が多い。商店街にはスーパーのようなものは見当たらない。みんな車で大型ショッピングセンターとかに行くんだろうな。
それなのに、なぜかお肉屋さんは活気がある。
馬刺しも扱ってて、牛、豚、鶏、お肉の種類がたくさん。つくねとかハンバーグとか半調理のもの、他にも豚肉の味噌漬けやハムなどショーケースにズラリと並んでいる商品を見ているだけで飽きない。
どれも品質がよさそうで、そして何より値段が安い。近くに住んでいたらお肉は絶対ここで買うのに。いや、いっそ近くに住んじゃいたい !
なんて考えているうちに、メンチカツ3個とコロッケ2個が揚がった。
揚げたてなので袋は開けたままにしてくれている。早速、駅のベンチでアツアツのメンチカツをいただく。パン粉がザクザクッとして、なかの粗挽きのひき肉がとっても美味しい。
なんだろう、このささやかな幸福感。
揚げたてのメンチカツも魅力だけど、お肉屋さんとそこに行き来するお客さんとの空間がとても素敵なのだ。そのお店の名前は、三喜屋肉店さんという。