待ち合わせ
待ち合わせは素敵。
西瓜みたいに滲んだ空を眺めている時のように
嫌いだったら約束しない
仕事だったらしぶしぶするかも
お金がかかると命の危険も
お迎えは行くのも待つのもお願いありき
ぼくが行くのは片思い
君は気にも留めていないだろうけど
懐かしい君は
本を貸すと返してもらえるからまた逢えると言った
電波が体内を通り抜けていく御世に
今も何かを手渡したりするんだろうか?
二度と会わないだろう君はどう思う?
いくつもの山を越えた向こうで、丸い地球の上っ面で
久々に、”元気?”と、あなたは尋ねてくれたが、
その言葉がぼくを焙りなおしてくれたのであって
群青色に飲み込まれていく橙色を追えずに
交差点の脇で光る板に目を落とすまでは
やはり何者でもない点になっていたと思うよ
“やぁ”、かもしれないし、”よぉ”、かもしれない
毎度ながら変だと思いながら
君はもはや別人かもしれないと慄きつつも
かつて君を知っていたということがうれしい
壁掛けの暦を眺めながらクッションを抱きしめるベタなスタンプのように
何があって何がなかったかすら思い出せないのに
懐かしさだけを抱きしめている
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