外国の発展途上のスポーツを応援する 【タイでソフトボール競技が多くの人に知ってもらうその日まで】(再編集)
2021年8月 書き出し部分を編集
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TOKYO2020 のソフトボールオリンピック競技が幕を降ろしました。ソフトボールのオリンピック競技が戻ってくるのはいつなのでしょうか。
(ソフトボール熱が熱いので、過去に公開した記事を再編集して公開致します。)
私は2018年秋から東南アジアのタイにおいて「ソフトボールに関する支援活動」をおこなっておりました。格好良く言えば、国際協力活動に参画させてもらっておりました。
今回はタイのソフトボール事情について少しだけ紹介させてもらおうと思います。
1.タイにもソフトボールをしている人がいる
タイにおけるソフトボール・野球はとてもマイナーなスポーツです。タイの多くの国民にとっては、野球(ベースボール)はアニメ「ドラえもん」でのび太君とジャイアン達が野球をしているシーン出てくることと、タイに在住している日本・アメリカ・オーストラリアらの人々が懇親目的で草ソフトボールをしているくらいです。
タイの主要なスポーツと言えば、「ムエタイ」「サッカー」「バレーボール」「セパタクロー」などが挙がります
とはいえ、タイでのソフトボール競技は40年程の歴史は続いているということ。現在は国立大学で10校程度・中学高校で25校程度のチーム(いわゆる部活)があり、そして社会人のクラブチーム(実業団チームなどは存在しない)が10チームほど
多くの選手は高校生(もしくは中学生)から始めて大学卒業までの約7年間ほど競技をするというのが実態のようです
ソフトボールの方が球場が狭いこと(野球は硬式球使用もやや原因)と女子ソフトボールが国際大会の参加国が多いため、タイではソフトボールの方が野球より盛んとなっています。
2.タイの代表選手達
2019年度女子代表選手は
高校生:2名 大学生:14名 社会人:4名 という構成でした。
多くは社会人になると練習する環境が少ないという状況です。日本のように草チームやクラブチームが数多くあるわけではありません。
またクラブチームとソフトボールチームがある大学はバンコク地区と北部地区(チェンマイ周辺)で固まっています。理由としては大学で強いチームがバンコク及び周辺の大学とチェンマイ大学だからです。
国内には代表をAチームとBチームを分けるほどの選手がいません。(もちろん予算や時間もない。)ですので国内強化合宿で練習試合をする時や国際招待のオープン大会を主催する際はU18/U15代表選手をBチームとして召集します。Bチームが練習パートナー(実際にはU18も練習をする)になるというわけです。U18だと球速が遅いので男子チーム(高校生や大学)と練習試合をすることもあります。
2019年末時点で発表されている世界ランキングは、
と、上には上がおりまだまだ伸びシロがたくさんある状態です。
2018年6月には東海地方にある大学のご協力により強化合宿を日本ですることができました。(私は「タイ」で留守番です)滞在期間約10日間でしたが、現状のレベルを測ることができたり、新しい気づきを与えられた1週間だということでした。
3.ソフトボールの競技人口が増えにくい理由とは?
どんな国においても、もちろん日本においても、ある競技がその国に根付くことは難しいことがあります。何かのきっかけがないと爆発的に競技人口が増えにくいということもあります。それには様々な要因があると考えられます。
タイにおいてもソフトボールの競技人口は40年の歴史があると言っても全く増えていません。タイにおけるソフトボールも同様な理由がありました。
(1)道具が高価:お金持ちのスポーツとなってしまう
タイにおいてはソフトボールに関する用品の流通が脆弱です。
日本・アメリカの各スポーツメーカーもタイには進出しています。しかし、野球とソフトボールは現状、マイナーなスポーツですからグローブやバット通常は卸していません。
タイの野球用品を取り扱うお店はシンガポールの代理店から卸すか、小売店のオーナーが日本や台湾へ旅行に行った際、スポーツ用具店で買い付けしているのが現状だと言うことです。
もしも、タイで日本と同じ価格でグローブやバットが売っていたとしてもやはり高価なものになってしまいます。ソフトボールのバットは30,000円ほどの価格です
ここから生活費やスマホなどのインフラ必需品の支出を考えると、ご自身や子供のためにスポーツ用品を購入することはできません。スマホも日本と同じくらいの価格はします。
中古用品(日本などから)も売ってはおりますが、充分に流通できているとは言えないかと思います。
ですので私も実際に企業・団体などにお声がけさせていただき、中古道具を寄付していただきました。
(2)中学・高校のチームが少ない
中学、高校は25チームと先程、記しました。これがどのくらい少ないかということです。タイの一般的な公立(国公立)中学・高校にソフトボールができる学校を挙げてみると
積み上げて全部で約25校という状況です。ちなみにタイは1都76県の地区が存在しています。
インターハイはタイにおいても各県持ち回りで開催されるので、ソフトボール協会が数年後のホスト県に所在する学校にアプローチをかけてチームを作ってもらい、協会から道具などを支援して少しずつ増やしているのが現状です。
(3)指導者(コーチ)が少ない
40年間、ソフトボール競技の歴史は続いていますが、競技経験者が多くはないので、指導者(コーチ)になってくれる人達も少なくなってしまいます。
ですから新しい学校でチームを立ち上げようににしてもその学校にいる教師で学生時代にソフトボールを経験したことがある人なんて皆無に近い状態です。なので、立ち上げる場合は協会から10日間ほど臨時コーチを派遣して導入練習を行います。
練習教材が少ないことも(日本やアメリカは技術本や解説書が充実していますよね)また現状です。
4.ジュニア世代の選手を増やそう
私は支援するにあたって、とあるバンコク郊外にある現地校の指導を任されました。(バンコクと言っても本当に郊外で日本人が周辺5kmには在住していないそうです。ポツンと私だけ)
その学校は体育教師が元代表選手ということで、体育でソフトボールの授業のある珍しい学校でした。2年前から大会に参加し始めたそうで、大会前に練習をする程度だったそうです。
そして、先生が集めてくれた興味がある(ソフトボールや日本人とのコミュニケーション)生徒と今まで経験している生徒、男女合わせて20名程度で私の指導はスタートしました。
ボールを握ることも初めての生徒もいながらも、とにかくこのチームが試合でチームに勝つことのできるレベルへ向上させ、大学生になってもソフトボールが好きで続けてもらえるようにする。
そしてこの学校が強くなれば他の学校のライバルとなり切磋琢磨できるようになり好循環が生まれるのではないか?と考え、どのように達成できるか。それを私の目標にしました。
5.子供たちにも目標ができた
実際に私がどんな練習をしたかはいつか書きたいと思いますが、練習を重ねて試合に出ると、今まで練習したことが実践できた喜びや試合で勝てた達成感などを感じるようになりました。
そして生徒達は、
「もっと上手くなりたい」とか「代表選手になりたい」とか言うようになりました。そして自主練習をしたり、練習を工夫したりするように成長が見られるようになりました。
タイは暑い国で、子供たちは涼しいところでスマホのゲームやSNSに夢中になりやすい環境下なので、このように継続的に練習を続けてくれる生徒が増えてくることがとても嬉しいことでした。
彼らはソフトボールのことでも、新たな大きな目標を見つけてくれました。目標を達成するために努力すること、考えること。このマインドはきっと競技をやめても他のことに活かせます。
それがスポーツをすることの醍醐味ではないでしょうか。
6.他のチームのライバルになれたか
2018年10月末から約1年ちょっと指導にあたってきて、自分の担当してきた学校は予選リーグを通過できるくらいまではできるようになりました。生徒達がコツコツと練習してきた成果が試合の結果となって表れたと思っております。
これからも継続的に練習して今の下の世代が知識と技術をアップデートしていけば、学校のレベルも更なる飛躍が望めるのではないかと思います。
7.ソフトボールが好きなことと日本文化が好きなことと
タイの選手のほとんどは日本に対してとても好印象を持っています。食文化やファッション、アニメ等々。もちろんソフトボールの映像も日本リーグや日本代表をチェック。
生徒達はソフトボールをきっかけに日本語の授業(タイでは高校から第2外国語として日本語を履修できるところがある)を選択する子もいます。
生徒達がソフトボールをきっかけとして日本の人々と交流がもてればとても良いことだと思っています。日本で学ぶことのできる機会が創出できれば願っております。
7.今後、どうすると更に知ってもらえるのか
私、一人では決めることもできないので、ここからは私の妄想も入れながら書きたいと思います。
(1)メディアの力を借りたいけれども
国民に認知されるためにはメディアに取り上げられなくてはいけないと思っております。ただそのためには、選手層や環境をある程度、改善して選手レベルが少し上がらないとも思っております。
(2)環境をコツコツと改善していく
選手レベルを上げていくには子供のころから経験する環境を整えてあげることかと考えています。
・体験参加が気軽にできるための整備
・そのためにも道具は中古品から流通量を増やしていく
・日本の企業様などの他の方々のお力添えをいただくことも必要
・指導者の育成
(3)日本に選手を派遣できる環境
もちろん、他国でも良いかもしれませんが、ジュニア世代からアジアトップクラスの日本の技術や練習方法を肌で体験できる機会(それも1週間ではなく1か月や2か月など中長期)があればなと感じます。
8.さいごに
特定の国々ではなく、より多くの国の技術と競技人口の向上が、ソフトボール発展のためになるかと考えています。
タイはアジアではまだまだ上位には食い込めませんが、少しずつでも技術レベルが成長して欲しいと願っております。
タイは世界でも有数の親日国であり、約72,000名以上の日本人が長期で滞在しています。(アメリカ・中国・オーストラリアに次ぐ多さ)
タイが好きな人で、ソフトボールや野球をしていたという方、是非タイでもソフトボール・野球をタイの皆さんとしてください。
私はタイのソフトボールをこれからも応援し続けます。
※私のお世話になっているタイソフトボール協会のフェイスブック
https://www.facebook.com/1225504150857640/
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最後までお読みいただきありがとうございました。ご意見やご感想があれば是非ともよろしくお願いいたします
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