レビュー「米津玄師/KICK BACK」
今回は、KICK BACKのMVを見た感想などを書こうと思う。
(このレビューは、あくまでも個人の感想及び妄想です。)
アニメ「チェーンソーマン」のOP曲として書き下ろされたものらしい。
アニメも曲も全く知らなかった。
この曲を初めて聞いたときの印象は、イントロからギョッとしてこれはデスメタル!?と思ったが、聞いていく(見ていく)うちに全く違う感覚になった。
これは、何とも表現しづらいMVだが、中毒性がある刺激的な映像だ(笑)
80年代のレトロゲーム(格ゲー!?)画面のような画面が現れる。
血走る目のドアップ。
トレーニングジムのような場所で、栄養ドリンクのCMのように猛烈に筋トレする黄色ジャンパーを着た男性(=米津さん)※黄色男
血と砂嵐とが入り混じったような声。
悪魔が舌なめずりして不敵な笑みを浮かべているようだ。
なのに、歌っている内容はランドリーについてである。
生活感が溢れる。
ア◯ックでも落としにくい相当しぶとい油汚れなのかもしれない。
自販機で「4444」の当たりを狙ったが、「4443」で意気消沈。残念!
ふと現れたのは革ジャンの上にジャージを着た男性。※革ジャン男
顔色一つ変えずに、片手でひょいと重いバーベルを軽々持ち上げる。
それを見た黄色男は動揺し、覚醒、奮起する。
革ジャン男に負けまいと、ベンチプレス、腕立て、サーキットなど汗にまみれながら血反吐を吐きながら、とにかくストイックにトレーニング。
怪しい色のプロテインドリンクもシェイクして何度も飲みまくる。
胃が爆発しそうな飲み物らしい。
こうした過酷な鍛錬の末、黄色男はついに強靭な肉体を手に入れた。
悟空なのか、ケンシロウなのか、はたまた なかやまきんに君なのか、いや彼らを圧倒的大差で凌駕する太くてゴツい上腕二頭筋。
そしてなぜか上腕二頭筋よりさらに太くてゴツい前腕筋。
さらには「おいおい嘘だろ」と誰かがツッコミをいれそうな、晩白柚(ばんぺいゆ)くらいの大きさと初手の破壊力を兼ね揃えたような拳。
いよいよ、その日は訪れた。
革ジャン男との決闘だ。
臨戦モードで意気揚々と革ジャン男の横に付き、素手でサンドバッグを殴ると、その衝撃で鏡面が大破。
(きっとそのうち賠償金額に慄くだろう。)
革ジャン男は黄色男に関心がない様子で、グローブを外しながらその場を去ってしまう。
その姿を目で追う黄色男。グローブを外す…と思ったら、外したのは腕だった。
黄色男が手に入れたはずの筋骨隆々の腕はただのフェイクだったのだ。
そして、案外シンプルに着脱可能なようだ。
利便性と実用性の観点から、もしかしたら「洗濯機、乾燥機可」の表示タグも内側についているかもしれない。
革ジャン男に負けじとランニングマシーンへ。
時速設定を上げて走る。走りまくる。
走りまくった末、突然外の世界へ。風力発電装置が見える。
曲調が一変。開放感がある伸びやかな歌い方と、オアシスのような平和な音楽でフィナーレか。
と思っていたら、高速で走ってきたトラックに轢かれ、体が宙を舞う。
死んだ?これは死んじゃったね?
…と思ったら、戦隊ヒーローのように地面に華麗に着地。
全力疾走していると、赤いスポーツカーに乗った革ジャン男が悠々と涼しい顔で追い去っていく。
黄色男がトンネルを走り抜けるとともに、スーパーキノコでも手に入れたのだろうか、パワーアップする。
ジャッキー・チェンかトム・クルーズかハットリくんか、コンテナを縦横無尽に動き回り、ガラスも突き破る。高層ビルも飛び移る。
振り返ると、同じような黄色いジャンパーを着た男たちが増殖している。追われているのか、一緒に走っているのか最早分からない。
突然、黄色男は顔を脱ぎ捨てると、白人男性の顔が露わになる。今までの黄色男は偽装だった。
いつの間にか赤いジャンパーの男や黒のパーカー風の男も増殖している。衣装が足りなかったのかもしれない。いや、その界隈に住む市民ランナーが混じっている可能性もある。
行き着いた先は、戦隊ものの爆破シーンで出てくるような岩肌むき出しの荒れ地だ。
とにかく、全員が1位を目指して競っているようだ。
白人男性がゴールしそうになるが、寸前のところでロケバス付近にいた本物の黄色男が全力疾走で白人男性を押しのけてゴールテープを切る。
ここで特撮お決まりの爆破があると思ったが、大人の都合なのかそれは無かった。
黄色男の足はウイニングランならぬウイニングウォーク。その流れでなぜか荒れ地に設置してあるランニングマシーンに乗って歩いていると、再び今までのトレーニングジムに舞い戻っていた。
すると、横には見覚えのある姿が。革ジャン男だ。
「あの〜」と話しかけようとしたところ、黄色男の目の前にはもう跡形さえ無くなっていた。
私には解釈が難しい世界観と曲だった。
チェーンソーマンを読むなり見るなりすると解明できるのかもしれない。
実はHPをちょっと覗いてみたが…読む勇気が出なかった。
それはそれとして、映像がシュールで声とアンマッチで(!?)面白かった。アクションとコメディを混ぜたショートムービーみたいだ。
米津さんの疾走シーンも見逃せない。もし予告編があったら、トラックに轢かれる場面に出てくる人形と共に採用されるだろう。
あと、「4443で外れる炭酸水」…パンチの聞いた歌詞。これはMVを見た人でないと意味が分からないのでは!?それが知れただけでも御の字だ。
機会があったら、今後「惜しい」、「残念だ」に代わる言葉として「4443(ヨヨヨンサン)」を使ってみたい。
あとがき
隣家に住んでいるおばあちゃんはいつも穏やかで優しく、お花のお手入れを欠かさない人だ。
もしそのおばあちゃんがこの曲を聞いたら、心拍数と血圧が爆上がりして卒倒してしまいそう&何だかご近所の関係性が変化しそうな気もしたので、この曲を聞くときは音が漏れ出ないように細心の注意を払って窓も閉めるようにした。
だけど、人は見かけによらないと言うし、もしかしたらそのおばあちゃんも夜な夜なこの曲を聞いてボルテージをあげていたりして!?
それを聞く関係性はまだできていない(笑)。
…4443。
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