人生を変えた出会い・ヒューマンライブラリー
ヒューマンライブラリーとは
『ヒューマンライブラリー』というものをご存知だろうか?
ヒューマン=人が、本となって自分の物語を語る図書館。
実際そんな図書館は、日常に存在しないが、イベント形式で開催される事が多い。
最初は2000年にデンマークで行われたのが始まりとか。
今は、障がい者や社会的マイノリティーを持つ方が、自分のストーリーを話す事で、偏見を減らし相互理解を深めようという目的が多くなったが、最初「暴力根絶」がテーマだったとのこと。
現在は、世界に広まり、日本でも大学主催で開催されたり、高校英語の教科書に取り上げられるなど関心が深まっている。
ヒューマンライブラリーとの出逢い
写真は2018年会場に飾られた、本のあらましPOP
私がヒューマンライブラリーに出逢ったのが、2017年に渋谷で開催された『超福祉展』サテライト会場で行われた、シブヤ大学のヒューマンライブラリーだった。
ヒューマンライブラリー自体を知らなかったが、シブヤ大学コーディネーターを務める方から
「本役として、自分の経験を話しませんか」
と、声を掛けていただいた。
ヒューマンライブラリーについて聞くと、時間は1コマ30分で、1回の読者は3名までというもの。
病気・内部障がいについて、講演をしたことはあったが、少人数に自分の話をすることが殆どなかったので、少々戸惑いはあった。
また、本ということで、自分の経験をストーリーにしなくてはいけないのか?という迷いもあり、そのストーリーは30分に収まるのかも悩みどころだった。
というのも、自分の話をするのに、闘病、双子出産、離婚(シングルマザー)というコンテンツが、切り離せない話になっていて、どうしても長くなってしまうのだ。
そんなことを考えながらも、自分の経験の1つとなり、何か得られるのではと思い、本役を引き受けることとなった。
ヒューマンライブラリーの魅力を感じる
司会者として大勢の人前で話す事に慣れている私だが、少人数に対して話す事に慣れていない…
そういう意味で、当日初回は緊張だった。
話す内容については、考えれば考えるほど何を話して良いか分からないので、あらましを読んで、申し込んでいる読者に
「何が気になって申し込んでくださったのか」
を、聞いてその内容について話をすることにした。
ヒューマンライブラリーは、このようなスタイルで行われる
緊張していたとは思えない笑顔(笑)
どのような話に興味があるかを、聞いてからの進行は、私にはやりやすい手法であった。
この、聞きたい項目をヒアリングする事で、コミュニケーションが取れ、柔らかい空間が作れたと思う。
ヒューマンライブラリーは講演と違い、読者が受け入れてくれているのを、ダイレクトに感じる。
そういった意味では、新鮮な体験をさせてもらった。
自分は、そこまで感じていないと思っていた事が、人が聞くと
辛いこと
なんだということを知る。
日頃、自分が「辛い」と感じてる方は、いちど本役をして、自分の辛さを表現してみると
「自分はひとりじゃない」
と、感じられるのではと思う。
そんな、ヒューマンライブラリーを知ることができた、貴重な経験だった。
ヒューマンライブラリーをドンドン開催!
2018年『超福祉展』ヒューマンライブラリーの様子
この記事を書くまでに3回、本の役をさせてもらった。
その度に、ボランティアスタッフの方が
「自分の大学で実施したいので、勉強のためにスタッフ参加しました」
「英語の教科書で知って、どのようなものが興味があり参加したのですが、学校で企画したいと思いました」
と、自分の拠点での開催を考える方が、増えている気がする。
素晴らしいことと思いながら、その話を聞く。
ただ、まだまだヒューマンライブラリーを知らない人が多く、その上「本」として自分を語る事への抵抗を持つ方も多いようだ。
その理由として
「人前で話すのが苦手」
「自分の話は面白いのだろうか?」
というものが多いだろう。
でも、別に面白くなくて良いのだ。
こんな立場の人も居るんだ
という、気づきの場だから。
話すのが苦手なら、読者と会話形式にして話してもいと思う。
ぜひ「本役で話をして欲しい」と、オファーを受けたら、積極的に引き受けて欲しい。
その経験から、何か感じるものがあるはずと、私は思うから。
「本役」2回目となると、余裕な感じ(笑)
ぜひぜひ、この素敵なイベントをドンドン開催して欲しい。
そして、その機会に関わるチャンスがあったら、積極的に参加して欲しい。
ドンドン日本に広めていきましょう!
3回の「本役」を経験して
先日『第5回せたがやヒューマンライブラリー』が開催され「本役」を務めました。
この『せたがやヒューマンライブラリー』は、『東京ヒューマンライブラリー協会』が主催で、行われている。
実は、この本役をオファーくださったのが、2018年の『超福祉展』で、私の読書となってくださった方。
それが縁で、連絡をくださった。
連絡をもらった時は、出逢ってから半年ほど経っていた。
だからこそ、驚きと共に、思い出してもらえて嬉しかった。
今回は、東京ヒューマンライブラリー協会 坪井 健 駒澤大学名誉教授・日本ヒューマンライブラリー学会理事長とも、お話しする機会をいただいた。
先生は様々な境遇の本を、司書として選ぶのを楽しんでいるように感じる。
それだけ、様々な境遇の本が集まっていた。
また、今回は議員の方など公人の方が聞いてくださり、メモを取りながら真剣に話を聞いてくださった。
私の話が、何かの役に立つかは分からないが、小さなヒントになったらと思うと嬉しい。
貴重な出逢いもある、ヒューマンライブラリー。
チャンスがあったら、先ずは「読者」体験して欲しい。
そして、自分の人生とは違う世界を感じる事で、魅力を感じてもらいたいと思っている。
そして、「本役」のオファー、待っています(笑)