DV防止法の問題点
DV防止法改正を求めて女性団体が声をあげています。「DVは身体的暴力だけではない。精神的、経済的、性的暴力も救済の対象にすべき」というものです。
これまでも、配偶者だけでなく、恋人からの暴力(デートDV)も救済の対象にすべき等、「配偶者暴力防止及び被害者の保護に関する法律」(通称DV防止法)の不備について指摘し、支援を広げるように求めてきて、自治体の相談窓口や警察等の対応も少しずつ変わってきています。
しかし、まだまだ変えねばならない、作らねばならない法制度がたくさんあります。
そもそも、加害者の処罰はなきに等しく、またその加害の実相に迫ることなく、被害者を隠して逃がすだけ、という法律が、いかに暴力の再発を許しているかは支援現場の実態をみれば明らかです。
その根底には、「家族の問題は自己責任」という考え方が根強くあるからです。
また、DVは個人の問題ではなく、ジェンダー/女性差別の問題であり、社会的構造の問題である、という捉え方がまだまだ理解されていないからです。「女が我慢すればいい」と、口に出しては言わなくても、内心そう思っている人がまだまだ多いということでしょう。
それがいかに理不尽であるかを、被害当事者女性は声を大にして社会に向かって発信していいし、それを支え後押しする支援が求められていると考えます。
先日のETV特集について
6月4日のETV特集「迷える女性たちの家」は、当事者の女性が自分自身を曇りなく語ることができ、視聴者に向けて発信したことに、何より大きな意味があります。自分のありのままを表現することは自己肯定感を養います。
DVについての報道は、そうした視点からありのままの実態を報じてほしいと思います。
その意味では、今回のETV特集は、Jikkaを半年間密着取材した中で築かれた関係性と信頼感がそれを支えたのだと思います。取材中、引っ越しの荷物を一緒に運んだり片付けたりしてくれた取材者の姿勢と眼差しがこのドキュメンタリーを支えています。(Jikka代表 遠藤良子)
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