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続けるということ〜利用者Yさん

Yさん(30代)は夫との関係がうまくいかず、家を出たかったのですが、行くあてもなく、友人の紹介でJikkaに相談に来ました。
中学生のときに急逝した母親が忘れられず、つらいことがあると死にたくなり、リストカットを繰り返していました。精神障害者手帳を取得し、生活保護を受けて暮らしています。それでも、中学時代にやっていたバレーボールを再開し、根気よく練習に励んでいました。
今年、そのチームが、東京代表チームのメンバーに選ばれ、関東大会に出場しました。そして関東大会で優勝を果たしました。彼女がバレーボールを初めて7年間で初めての優勝でした。私も会場の栃木まで応援に行きました。接戦で、ぎりぎりあと1点とれば勝てるとなったときの緊張感の中で、その1点をチームワークのよさであっけなくとりました。その瞬間、彼女はコートの真ん中に突っ伏して大泣きしました。チームの仲間に両腕を持ち上げられてやっと立ち上がり、コートの外へ。それでもまだ泣いていました。どんなにうれしかったことか。そして後できくと7年間、つらいこともたくさんあったことがよみがえってきて、こみ上げるものがあふれて涙が止まらなかったそうです。

好きなことで目標をもつと生きる力になる

つらいこととは確かに練習そのものもそうですが、どちらかというと、そのチームの中でのメンバー間の人間関係でした。男性5人の中で女性は一人。負けん気が強いのに一度怖いと思った人には拒否反応が出て具合が悪くなり、吐いてしまいそうになる。練習には行きたいのに、その人がいると思うと足がすくむ。一時はやめようかとも思いました。それでも練習は休みたくないからと頓服薬を飲んで頑張りました。そのうちに、その人がけがをして休むことになり、結果その心配はなくなりましたが、その間も膝や腰を痛めたり、回転レシーブで首を痛めたりと七転八倒ですが、今は全国大会に向けて頑張っています。試合に勝つためには自分にも克たなくてはいけない。そしてどちらにも勝てた(克てた)。Yさんはそのことを全身で教えてくれます。何かの目的に向かっていることが、こんなにも人を強くすると思わされます。
私は運動神経が鈍いですし、勝ち負けを競うスポーツはあまり好きではありませんが、Yさんを見ているとスポーツも悪くない。自分ができることや、好きなことで目標を持っていることが、生きる力になり、続ける力になる。そのためならつらくても何とかやり通し、そこにやりがいを感じられる、それがスポーツなら悪くない、と思えています。
Yさんの全国大会の応援にも行きたいと思っています。(Jikka責任者・遠藤良子)

くにたち夢ファームJikkaはDVや虐待などの被害者、生活困窮者など女性支援を行うNPOです。
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