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Jikkaの支援方針〜断らない支援

くにたち夢ファーム Jikka は、人口8万にも満たない小さなまちで起こした事業です。資金も人手もそんなにあるわけではなく、ささやかでも色々な意味で生活困窮状態にある女性の力になりたい、と2015年に始めました。
最近は、さすがネット社会です。ネットで必死で探してJikkaを見つけ、頼ってくる女性たちが多くなってきました。しかし、よくよく話を聴くと、今まで何度となく居住地の自治体や民間の女性団体等に相談したり、公的シェルターを利用してきた経験がある人たちであり、全く相談したことのない人はほとんどいません。これはいったい何を示しているのでしょうか?

役所で断られる理由

DV被害者の場合、公的シェルターに入ると、「自由がなく窮屈」「携帯が使えずいろんなつながりが切れてしまうのが不安」といった理由で入りたくないという人が少なくありません。また、入りたくても、「あなたは何度も夫の元に戻ったことがあるからもう受け入れられません」という理由で断られる場合もあるようです。
さらに、役所では、DV被害当事者なら相談や保護の対象だが、18歳以上の女性で、親からのモラハラや、慢性疾患や精神しょうがいがあり家族から見放され家にいられないけど住むところがない、家族から虐待がある等々については、保護の対象とされないことがあります。「ここでは何もできることはありません」「まずは働いて自立するお金をためなさい」とお説教されて帰されてしまうのです。
Jikkaには、このような「何とかしたいけどどうしてよいかわからないから相談に行ってるのに、どこも誰も助けてくれない」という女性たちがやってきます。

どんな困りごとでも断らない

私たちは選びません。選ばれることはあっても選ぶことはすまいと思って始めたので、とにかく相談を受けたらお話を聴いて何ができるかを一緒に考えます。そして一緒に行動します。その結果、全国各地から相談者が訪れます。女性を自認する人なら、誰であっても、どんな困りごとであっても、どこからでも、受け入れることのできる女性支援の場と人が必要です。
また、Jikkaの特徴はオープンスペースを持ち、誰でもお茶を飲みに来られる場所であることです。全国にJikkaと同じような活動をしているところはあるのでしょうが、おそらく「安心・安全」のために、このようにオープンにしているところはないのではないかと思います。(ここでは述べませんが、「安心・安全」はすべてを秘密にすることだとは私は思っていません。クローズとオープンの両方が女性支援には必要だと思います。)
こんな小さなまちの小さなNPOに遠くから来なくても、役所でも民間でも、誰もが今いるところで解決できるしくみが早くできるように願うばかりです。「制度がないからできない」ではなく、できないことができるようになるにはどうすればいいかを考え学ぶチャンスととらえ、そこから自分たちの活動を検証し何が必要かを考えていったり、行政に政策提案していくことが大切なのだと思います。カテゴリーのない困窮女性たちに支援の手を官民協働で差し伸べたいものです。
(「Jikkaからのお便り」2019年秋号より)
Jikka 代表 遠藤良子
※トップ画像はJikka利用者さんが描いたものです。


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